数年前、〈Societe des Ambianceurs et des Personnes Elegantes(おしゃれで優雅な紳士協会:略称SAPE(サップ))〉が、アンダーグラウンドのサブカルチャーを象徴する存在として注目を集めた。コンゴ民主共和国の首都キンシャサで、自ら〈サプール〉と称する男たちが、高級ブランドのスリーピース・スーツやワニ革のローファーを身に纏い、周りの視線など意に介さず、街を優雅に闊歩する。サプールたちは、ドキュメンタリーやギネスビールの広告でフィーチャーされ、さらには、ビヨンセ(Beyonce)の妹ソランジュ(Solange)が歌う〈Losing You〉(2012)のMVにも出演した。 世界がサプールに恋する理由は明白だ。アフリカ大陸有数の最貧国でもあるコンゴ民主共和国で、ブルーカラーの労働者たちが時間とお金を費やして金持ちセレブかのように装う、それは見ていて楽