地上と静止軌道をカーボンナノチューブ製のテザー(ケーブル)で結び、昇降機で安定的に人や物資を運ぶ宇宙輸送システム、宇宙エレベーター。実現すれば宇宙への輸送コストが大きく下がると言われている。また、NASAや米プラネタリー・リソーシズなどが目指す小惑星での資源採掘が実現した場合、採掘したトン単位の資源を安定的に輸送できる宇宙エレベーターのようなシステムが不可欠だ。 現状では、テザーの素材となる強度と長さを備えたカーボンナノチューブテザーがないため、すぐに宇宙エレベーターを建設することは困難だが、宇宙エレベーターを構築するとすれば、何を検討しなくてはならないのかを考える取り組みが、地上で行なわれている。静岡県富士宮市、大沢扇状地で8月7日~8月10日に開催された、日本宇宙エレベーター協会の昇降機実証大会の様子をレポートしよう。 ↑富士山の西側、広大な遊砂地が広がっている。人工物のない安全な競技