神戸国際フロンティアメディカルセンターでの生体肝移植が話題になっている。このセンターで生体肝移植を受けた患者8人中4人が死亡した件で、「生体肝移植に適さない患者や臓器提供者(ドナー)に手術したケースがあることが関係者への取材でわかった。」と報道されていた。しかし、この報道を読んでいて感じるのは、いつまでたっても成長しない報道姿勢である。 病院長の田中紘一先生は、生体肝移植の世界的権威ではないか。生体肝移植では世界の第1人者と言っても、誰からも文句が出て来ないほどの日本が誇るべき医師である。私は京都大学で教授をされていた際に、講演を依頼されてお伺いしたことがある。教授でありながら、週に何回も当直されていると話されていたことが印象に残っている。健康な人間を傷つけることを非難されながらも、子供さんを見殺しにできないとの強い意志で奮闘された。日本という特殊事情の中で、生体臓器移植を確立された、外科