「ピンポーン!」 ドアを開けると、そこにはドーピング検査員、ではなく、宅配便の配達員がボックスを持って立っている。 ボックスの中身はドーピング検査のキット。送り主は米国反ドーピング機関(通称、USADA)。受け取った選手たちは、このキットを使って、自分でドーピング検査を行う。 「新型コロナウィルスの影響で、ドーピング検査の数が減少している。そのため東京五輪で違反者が増加する可能性がある」 新型コロナウィルスの感染者が増加し、外出や移動の規制が始まると、米国や英国の反ドーピング機関は上記のような懸念を表明していた。 競技会外検査(通称、抜き打ち検査)のために検査員が訪問することができない状況となり、もし訪問してもソーシャルディスタンスの6フィート(約2m)をとるのは難しく、事実上、検査は凍結された状態になった。 そんな中、米国反ドーピング機関が新たに採用したのが、「オンライン抜き打ちドーピン