自身の経験を踏まえつつ、哲学の領域に根強い男性中心主義を指摘する横田さん(京都市北区・立命館大衣笠キャンパス) 魂の不死を論じたプラトンや「私」という存在を考察したデカルト、言語を巡る革新的な哲学を展開したウィトゲンシュタイン…。「普遍的な人間の問題」を扱ってきたとされる哲学だが、代表的な哲学者には男性が多い。現代日本の総務省の科学技術研究調査でも、2023年の大学などにおける哲学の女性研究者は2割で人文・社会科学全体の3割を下回る。森羅万象を対象とするはずの哲学に潜むジェンダー格差をどう考えればよいのか。現場の哲学研究者たちに聞いた。 「近年まで哲学の著作は男性によってほぼ独占されてきた。『人間』について探究するから普遍的だという『看板』の下、偏った議論を展開してきた」。「感じない男」などの著作がある早稲田大人間科学部教授の森岡正博さん(65)は、そう指摘する。男性哲学者が支配的だったこ