北陸新幹線の開業でにぎわう金沢市の近江町市場で、主に地元の人たち相手に商売をしている青果店が苦戦している。混雑を嫌った常連客の足は遠のき、詰め掛ける観光客のほとんどは魚介類が目当て。そんな状況に危機感を持つ市場関係者は少なくない。290年続く「金沢市民の台所」が大きな異変に悩まされている。(山内晴信) 「いらっしゃい。どこから来たの」。平日正午ごろの市場、よそ行きの格好をした親子連れや高齢者らに鮮魚店主が声を掛ける。海鮮丼を扱う飲食店の前には長蛇の列。板前の男性(50)は「新幹線効果で売り上げは二倍ぐらいになった」とほくほく顔だ。