例年ならば、祇園囃子がそこここから聞こえる京都の7月。「京都に夏がやってきた!」と、町に暮らす人が心を躍らせ、皆で「平安を祈る」時でもある。だが、 新型コロナウイルスの影響で令和2年の祇園祭 (祇園御霊会) は規模を縮小して執り行われることに……。1150年という長い歴史の中でも、異例の形として執り行われる"令和2年の祇園さん"を5回連載でお伝えしたい。 第1回は歴史からみた令和2年の神事について、京都国立博物館名誉館員で日本史学者の下坂守先生にお聞きした。 新型コロナウイルスへの対策として国内外で「三密」の自粛が実施されるなか、八坂神社を始め、祇園祭に携わる宮本組や三社神輿会、祇園山鉾連合会などの各団体は検討を重ね、神輿渡御などの神事の一部と山鉾巡行といった人が密集する祭事についても中止することを発表した。 4月20日に行われた記者発表で、八坂神社宮司森壽雄氏は「苦渋の決断だったが、祇園