<2015年の習近平国家主席のスピーチをきっかけに、日中両国に突如到来した「隠元ブーム」。隠元隆琦(上)とは果たして何者か> 突然ですが、ひとつクイズを。明朝体、煎茶道、木魚と聞いて連想する歴史上の人物は誰か。 答えは隠元隆琦(いんげんりゅうき)。これらの文化を江戸日本に伝えた功績をもつ。だが、この人物を知っている人はほとんどいないのではないか。筆者もつい3ヶ月前に知人に教えてもらったばかりだ。 清朝初期に訪日したこの僧師が、ゆかりの地である中国の福建や日本の長崎で話題になっている。 きっかけは2015年5月の習近平国家主席の演説だった。北京の人民大会堂で、3000人からなる日本人訪中団を前にこう語った。 「日本にいる間、隠元大師は仏学の教義を伝えたのみならず、先進文化と科学技術を持ち込み、江戸時代の経済社会の発展に重大な影響を与えました」 1985年にアモイ副市長就任、その後福建省長を務