小さい頃、読んだ印象とは別ものに感じました。 当時は、暗く、恐ろしく、読み終えた本をパタンと閉じてしまった記憶があります。 しかしこうして今、読み直してみると、深く心に沁み込んできます。 以下に、作品のあらすじをまとめました。もちろんご存知でしょうが…。 物語は、雨にふりこめられた下人が、行き所なく、羅生門で途方にくれている場面から始まります。 【ダイジェスト】 四五日前に暇を出された下人は、喰うに困る状況、どうにもならない事を、どうにかする為には、手段を選んでいとまはない。選んでいれば、築土の下か、道ばたの土の上で、飢え死にをするばかりである。 下人は一晩あかす場所はないかと辺りを見回す。すると幸門の上の樓へ上がる梯子が眼についた。 上なら、人がいるにしても、どうせ死人ばかりである。 この二三年、京都には、地震とか辻風とか火事とか飢饉とかいう災いがつづいて起こり洛中のさびれ方は一通りでは