平均寿命がどんどん延びている現在、定年延長が議論される一方で、年金受給開始の繰り上げ/繰り下げもしばしば話題に上ります。しかし制度をしっかりと理解したうえで決断しないと、予想外のデメリットに見舞われる可能性も少なくありません。今回は、繰り上げ受給を選択して「年金の落とし穴」にハマってしまった男性の事例を紹介します。 70歳目前、男のため息… 「これで2ヵ月分か、また貯金を崩さないとな…」 銀行の預金通帳を見て、竹田信義さん(仮名・69歳、以下同)は、ため息をつきました。振り込まれていた年金額は、2ヵ月分で約30万円。月に約1万円の介護保険料も、しっかり2万円差し引かれています。 定年後も嘱託で残っていた会社は、70歳で退職することが決まっています。返済期間を延長した住宅ローンの支払いが毎月5万円もあり、今年の4月からは現役世代の賃金が下がったのに合わせて年金支給額も0.4%減額されるとのこ