ブックマーク / goldhead.hatenablog.com (16)

  • わいせつ古代都市の宇宙 - 関内関外日記

    「……でっかいまーら、かなまらー!」 少し遠くから祭り囃子が聞こえる。 私は公園のベンチで、一人の老人と話していた。いや、老人というにはまだ若々しい。矍鑠、という言葉がふさわしいのであろうか、白髪をたたえたその男の眼光は鋭い。 「マラは……カネでなくてはならんのだよ」。 男はそう言った。 私は、わいせつ石膏の村の人間だ。わいせつ石膏を代々作り続けていた村の人間である。そのような村は、日各地の僻地に、そしてときには街のど真ん中に存在している。代々受け継いできたわいせつ石膏……女陰の石膏を作りつづける。そう宿命づけられた村、なのである。 しかし、私は村から出た。祖父の、父の跡を継ぎ、型職人になる道を選びたくはなかった。広い世界に出て、見聞を広めたい、そう思った。だれも引き止めるものはいなかった。去る者は追わず、それがわいせつ石膏の村の、昔からの気風だった。 そして、私はジャーナリストの端くれ

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  • ホワイト企業にブラック無能社員はつとめられぬ、この世の地獄 - 関内関外日記

    dennou-kurage.hatenablog.com ご説ごもっとも、という記事ではある。 が、おれは違和感を覚えた。例に挙げられているのが、「仕事を通じて成長をしたいと思っている人」だの、「外資系コンサルティングファームやスタートアップにそういった見返りを求めて就職する人」だの(コンサルティングファームってなに?)だの、意識や能力、求めるところが高いところにある人が、激務と引き換えに……という話なのである。 おそらく、筆者の取り扱う範囲外、というか、範囲の下の下にあるおれとしては、世の中そんなブラック企業と従業員の話ばかりじゃねえよ、と言いたくなるのである。一応、この世には下の下の人間も生きているし、ときには言葉を発するので、おれはそうするのである。 具体的に言えば、おれの勤め先の零細企業は残業代も出さないし(残業という概念があるかどうかというと、ない)、そもそも賃金が毎月きっちり支

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  • 横浜スタジアム、あるいは関内地区の今後について(おれの薄い本の電子版が発売されています) - 関内関外日記

    おれの薄い(印刷版完売御礼)の電子版が販売されているようです。 関内関外日記アンソロジー#1 ずったら ずったら | ameroad 「されているようです」なんて、まるで他人事ではないかというそしりは免れません。しかしまあ、そのあたりはお任せしているので。 おれはもう写真と文章を使ってください、というところなのであって。 みなさまのありがたいお金につきましても、「次があれば次に使おう」くらいのもの(ですよね?)ということで、べつにおれに入ってきているわけではないので。 もしも「次」があったらいいな、などという奇特な方がおられましたら、電子版もよろしゅうお願いいたしますと、こう申し上げているわけであります。 関内関外日記アンソロジー#1 ずったら ずったら | ameroad まあ、しかし、これら写真はなにかというと、佐川急便の中華街の集配所に、品物を取りに行くまでの過程なのでして。考えて

    横浜スタジアム、あるいは関内地区の今後について(おれの薄い本の電子版が発売されています) - 関内関外日記
  • 1万人に1人の無能者 - 関内関外日記

    年末年始のテレビ番組を確認するために、「TVガイド」という雑誌を買った。毎年「TVブロス」を買っていたのだが、あいにく書店で見つからなかったのだ。あるいは、たしかもうそういう雑誌ではなくなっていたのだろうか。 まあいい、「TVガイド」だ。「TVガイド」にはたくさんのジャニーズの人たちの写真が、記事が載っていた。おれはあまりジャニーズに興味はない。「君ら、わりといい歳なのに、イチャイチャくっついて、笑顔作って、大変やなぁ」などと思うくらいである(追記:あらためて見てみると、各グループの構成員がそれぞれすべてのパターンで二人一組のハグ写真を撮られていた。算数の問題みたいだ)。おれに必要なのはただ番組表だけだった。 興味のないものを読むことはある。インターネットなど、まったく興味のないものを無料で読むことができる、奇妙な世界である。そして、ときどきは自分に縁のないものをクリックしたりする。たとえ

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  • とんかつ切って暮らしていけるなら、それでよくね? - 関内関外日記

    r.gnavi.co.jp この記事のはてなブックマークで、「ブラック」と決めつけるようなコメントが散見された。そう言いたくなる気持ちはよくわかる。飲業、下積み修行……やりがい搾取、パワハラ、暴力、そういった連想。 だが、ちょっと待ってほしい。この記事を読む限りでは、どういった労働条件なのか、どのくらいの賃金が支払われているか、わからんではないか。なにか過酷な話といえば、三代目が店に入って15kg痩せたというくらいだ。しかしそれも、もともと90kgあったというのだし、もしも一日中座っている仕事から身体を動かす仕事に変わったのなら、そのくらいの減量は起こりうるだろう。 もちろん、これは推測の話だ。おれは「とんき」を知らぬ。というか、名のあるとんかつ屋でとんかつをべたこともない。推測に推測を重ねてなんだけれども、行列のできる店はそれなりに儲かっているのだろうし、従業員にはそれなりの賃金が支

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  • おれの薄い本が出るらしいです。 - 関内関外日記

    おれの薄いが出るらしいので、宣伝というか、予告というか……。 dk4130523.hatenablog.com 現在公開できる情報は、こちらさまのエントリーがすべてですので。 なんというのか、自費出版ですらない。他費出版というのでしょうか。一人でも同人誌というのでしょうか。いや、お手伝いしてくれる方がいてのこと、というか、むしろ、おれは企画の時点からなにもしていないのですが。人任せで、なんなんでしょうか。 まあ、神輿は軽いほうがいいと言いますか、神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみいや、と言いますか、おとなしく推移を見守りたい、と言いますか。いや、校正、校閲、印刷用画像処理をはじめとしたDTP、やれることはやりますので、はい。いや、なんなんでしょうか。 とうぜんのことながら少部数なわけですが、自分の文章が印刷されるのです。これは……おれにとっては一大事でもあり、一方で慣れてないことでもな

    おれの薄い本が出るらしいです。 - 関内関外日記
  • ひきこもりの子供にだれがなにを語るべきなのか? - 関内関外日記

    さきほど、たまたまNHKのクローズアップ現代でひきこもり特集を見た。 www3.nhk.or.jp 「学校に行かない子どもたち」の問題として1980年代に社会問題化し、2000年代にかけて大きくクローズアップされた「ひきこもり」。いま、新しい局面を迎えている。長期化・高齢化が深刻化しているのだ。40代、50代のひきこもりの人が、高齢の親と、経済的、精神的に追い詰められ、孤立死する事態も起きている。一方、ひきこもりの当事者や経験者らが、みずから声を上げ、社会に向けて積極的に発信する動きも、目立つようになっている。超高齢社会に入った日の「ひきこもり問題」、家族のありようを見つめ直す。 中川翔子と山田ルイ53世が出ていた。ふたりとも元ひきこもりで当事者であることはたしかであろう。 そして、かくいうおれも……さんざんっぱら書いてきたことだが……元ひきこもりである。いや、果たして「元」がつくのかど

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  • 野太い人権、そして反緊縮―ブレイディみかこ『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』を読む - 関内関外日記

    THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日 作者: ブレイディみかこ 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2016/08/17 メディア: 単行 この商品を含むブログ (9件) を見る 確かにいまは英国でもこの層の人々はダサい社会悪の根源と見なされ、昔のように「ワーキング・クラス・ヒーロー」ともてはやされることはない。が、彼らはけっしてひるまない。ブロークン・ブリテン上等、と言わんばかりのやけくそのパワーで突き進むので、この先どんな大変なことになっても、とりあえずこの人たちは死なないだろうと思わされてしまう。 翻ってわが祖国である。 そこで暮らしている庶民には、ブロークン・ジャパン上等の気構えはあるだろうか。それどころか、ひょっとするとまだ沈んでいる自覚さえないのではないだろうか。 おれには日で暮らしている庶民のことはわからない。なぜならば人間関係というものがほとんどないの

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  • 映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』(というか妖猫伝、Legend of the Demon Cat)を観る - 関内関外日記

    ku-kai-movie.jp 空海の入唐というのは、日仏教史的に、いや、日史的に重要なことやと思うとるんよ。そして、謎も多い。なんか話がスムーズすぎる。恵果にすんなり認められるとか、さてどうなん? と。そこで、「山岳修行をしていたとされる時期に、実は一回入唐していて、遣唐使の留学僧として行ったのは二回目だった」説みたいなのがあっておもしろい。どこでだれが書いていたか忘れたけれど。だからなんだ、当時の世界都市であった長安で空海がゾロアスター教を見たから、カープの新井さんが毎年護摩行をすることになったのかもしれないのだ。弘法大師はコスモポリタンなのだ。 そんな空海が主役の……というと、これはいくぶん違うかもしれない。いや、この映画の主人公はだれ? というと、やはり空海ということになるのだけれども、空海すごい一辺倒映画とかそういうものではない。では、なにがすごいのか。ネコだ。妖しいの伝説

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  • 貧しさは畢竟、選択肢のないことよな - 関内関外日記

    当たり前すぎることだけれど、頭のなかをタイトルがよぎったので書き留める。よぎったのであって、ヨギータではない。 人生の選択肢の多さは平等ではないA、B、C、Dの人もいればCとDしかない人もいる。たとえばそういうことにしよう。 とたえば、富めるものは4つある。貧しいものにはCとDしかない。スシマスターから2つで充分だというアドバイスを受けたわけでもない。 それどころか、貧しいものにはこの世にAとBとが存在することすら知らないかもしれない。エイトビートは知っていても、エビは知らない。それがロックだというならそうかもしれないが、この世が土曜の夢だというわけでもない。だれもがロックンロール大臣になれるけじゃないのだ。 なおかつ、富めるものにとって好都合なのは、貧しいものが4つの選択肢がこの世に存在することを知らないということだろう。CとD、労働地獄、搾取の道を選ばせておいて、自分たちのAやBの元手

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  • 虫明亜呂無のいない世界で - 関内関外日記

    パスキンの女たち 作者: 虫明亜呂無 出版社/メーカー: 清流出版 発売日: 2010/12 メディア: 単行 クリック: 25回 この商品を含むブログ (3件) を見る 時さえ忘れて (虫明亜呂無の) 作者: 虫明亜呂無,玉木正之 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1991/06 メディア: 単行 この商品を含むブログを見る シャガールの馬 (1978年) 作者: 虫明亜呂無 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1978/10 メディア: ? この商品を含むブログを見る 『パスキンの女たち』のハードカバーがわりと新しいの棚にあったので、何冊か虫明亜呂無を読んだ。決してスポーツものだけの人ではないと言われるかもしれないが、やはりこの人の書くスポーツものは突出しているように思えてならない。 とはいえ、おれは虫明亜呂無のことはよく知らない。寺山修司との競馬対談と、スポーツアン

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  • 芋煮とエルロイ 深町秋生『探偵は女手ひとつ』 - 関内関外日記

    「こだな大雨にさらさって、逆に特別料金もらいたいぐらいだべ。ギャンブルに挑む男が、そだなケチくさいこと言ってると、貧乏神にとりつかれっぞ」 芋煮とエルロイ、エルロイと芋煮。とくに意味はない。そうだろうか? それをつなぐ作家が一人いるじゃないか。深町秋生である。「ペロペロ芋煮っ娘」、あるいはジェイムズ・エルロイという言葉に反応したやつは書を読んでみるべきである。芋煮にしか興味がないのなら、河原で芋煮会をやるべきだ。芋煮から帰ったら読んでみるべきだ。ちなみにおれは神奈川の人間であって芋煮会がなんたるかを知らぬ。 書の主人公は探偵である。そして女である。推理小説を読み慣れている人間ならば、タイトルからここまでのことを読み取れる。とはいえ、その女探偵がサクランボの選果、デリヘルの運転手、雪かきばかりしているとわかるだろうか。これは「いなか、の、じけん」なのだろうか。そうだといえばそうである。と

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  • きみは崩れ落ちる神輿を見たことがあるか - 関内関外日記

    きみは崩れ落ちる神輿を見たことがあるだろうか。おれはある。あれは中学校のころの体育祭だった。なぜか神輿があって、喧嘩神輿のようなことをさせられたのである。クラス単位だったかなんだったか忘れたが、ともかく神輿を担がねばならなくなったのである。はっきり言って皆乗り気ではなかったように思う。ボリュームのない「わっしょい、わっしょい……」とともにグラウンドに出ると……すぐにヘナヘナと崩れ落ちたのである。皆が皆、「だれかが力を入れているだろう」と思っていた結果、だれも力を入れなかったのだ。面倒ながら担ぎ直しつつ、おれは皆が皆サボろうとすると当に全体が崩れてしまうこともあるのだなぁと思った。 主語が大きくなる。この頃、この最近の日について、あのときの神輿を思いださずにはおられんのである。もう、「だれかがやってくれるだろう」精神、「こんなん真面目に担いでもどうにもならんな」精神、そういうものが集まっ

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  • 鉛様麻痺と父の思い出 - 関内関外日記

    ここ二日連続で朝ベッドから出られなくて午前休にした。いわゆる鉛様麻痺(なまりようまひ)というものだと思う。非定型うつの症状として検索結果に出てくるから、ひょっとしたら違うかもしれない。ただ、症状はともかく身体が動かない。笑っちゃうくらいに動かない。なにを言ってるのかよくわからないのだろうが、目を覚まそうと顔をこするとか、寝返りをうつとか、もちろん起き上がることだってできなくなる。 頭ははっきりしている。動かなきゃいけないとわかっている。わかっているが、身体が動かない。金縛りのようなこわばりはない。力が入らない。脳からの指示を伝える線が切れたような感じ。糸を来られた操り人形みたい。それでもなんとか、必死の必死で枕元のiPhoneで会社に連絡する。そしてまたじっとする。じっとしているしかない。トイレに行きたくなっても、当の当の限界まで頭で「起き上がってトイレに行かなくては」と思って、ようや

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  • 新社会人に贈ることば - 関内関外日記

    金のない人間の一生は長い妄想の中の長い失意にすぎず、人は何かを知ろうにも何かから解放されようにも、そいつを所有してなきゃ適わないことなんだ。 セリーヌ『夜の果てへの旅』 よう、新社会人。就活とかいう地獄を勝ち抜いてきた戦士たち。だからって、そこはゴールじゃねえよ。スタートでもない。いつでもおれたちはだいたい死んでるんだ。一部の金持ちとかいう種族を除いたおれたちは、○と×のドアじゃなくて、絞首刑台へのドアか、ギロチンが用意されてるドアかの二択だ。その二択を延々と開きつづけるだけのことだ。昔の絞首刑は首の骨を外すやり方じゃないから、三十分とか吊るしつづけることもあったらしいぜ。それで、死んだとなったら解剖目的で医者に死体を売りつける業者と家族で奪い合いになったりしたんだとか。おまえの死体に価値があるのか? そもそもおまえに価値があるだろうか。 言うまでもないことだが、おれは価値のない人間であっ

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  • そこに言いようのない愛はあるのかい? - 関内関外日記

    hatenanews.com はてなブックマークタグ紀行。今回は「言いようのない愛」だった。これはおれが愛用しているタグでもある。というか、先例があるかもしれないが、おれはオリジナルで使い始めたような気がする。 b.hatena.ne.jp そう思って自分の「言いようのない愛」を遡ってみたら、この記事に出くわした。そして、そこにはこんなブックマークが。 仙谷氏 紙記者を筆でなでなで「あなたは存在自体が罪悪」!? - MSN産経ニュース [loveplus] 「言いようのない愛」タグの初出(goldheadさん)。 2011/02/02 21:34 b.hatena.ne.jp おれが初出らしい。上場企業のはてな社のサービスのえーと、なんだ、まあそこに採り上げられるのはたいへんに誇らしいではないか。 しかしなんだろうか、「言いようのない愛」の初出。その元記事。もはやMSN産経ニュースという

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