ブックマーク / www.anlyznews.com (4)

  • 落合陽一×古市憲寿の終末期医療削減による医療費抑制論について

    社会学者というかコメンテーターの古市憲寿氏が前衛芸術家の落合陽一氏との対談*1で、終末期医療の打ち切りによる医療費の削減が必要と主張してネット界隈で論争を呼んでいる。「優生思想に他ならない」と優生思想が何かも分かっていないヒステリックな糾弾はどうかと思う*2のだが、古市氏も医療費全体に占める終末期医療のボリューム感を見誤っている可能性が高い*3。 高齢者の増加で医療費が増加しているのは事実だ。死亡まで数ヶ月間の治療費が高くなる傾向も指摘されている。終末期の胃ろうや点滴は過剰であり、後期高齢者において回復見込みの低い状態での延命治療は打ち切るべきという議論は以前からある*4。このように列挙していくと衝撃的でも正しいことを言っているように思えてくるが、やはり医療費全体に与える影響は概算でも出さないと議論がおかしくなる。 日医師会の『後期高齢者の死亡前入院医療費の調査・分析』の「高齢者の医療費

    落合陽一×古市憲寿の終末期医療削減による医療費抑制論について
  • 従軍慰安婦は朝鮮に実質的にほとんど送金できなかった説の弱いところ

    ネット界隈に限らずだが、左派の間に京都大学の歴史家、堀和生氏が唱えている「慰安婦が慰安所での稼働で一定の収入を得ていたことは事実であるが、占領地域から日への送金には様々な規制があり、預金凍結措置によってその引き出しには厳しい制限が加えられていたので、(実質的な)利益を享受できなかった」と言う説*1が定着したようだ。信じている人は悪気はないのだと思うが、この説は脆弱な面があるので、もう少し批判的に検討する必要がある。 1. 前借金で受け取ったお金は送金規制に影響されない (内地・朝鮮・台湾出身の)慰安婦は概ね1年~2年で前借金を返済し、もう1年で貯金をつくって朝鮮に帰っていったと言われている*2。収入の約半分は前借金として先に朝鮮で受け取っていることに注意して欲しい。前借金の返済分は戦地からの送金規制に影響されないし、さらに終戦で支払いを踏み倒されたとしても利益を享受できている。なお、イン

    従軍慰安婦は朝鮮に実質的にほとんど送金できなかった説の弱いところ
  • 沖縄の歴史や社会を調べずにイデオロギー的歴史観を振り回している社会学者の卵: ニュースの社会科学的な裏側

    社会学者の卵の古谷有希子氏が、ここ二ヶ月ぐらい沖縄の歴史や社会を調べずにイデオロギー的歴史観を振り回している*1のだが、なかなか酷いことになっている。沖縄は植民地だが、沖縄の人々はそれが認識できていないと高らかに宣言している。普通の定義では植民地とは言え無いし、これは他人をバカだと愚弄している。 植民地の明確な定義は無いのだが、普通は司法や行政が国政府と切り離されている一方で、国政府の意向に従わないといけない地域の事を指すことが多い。少なくとも現在において、沖縄と内地で司法や行政は連続しているから、植民地とは言えない。また、米軍は当初、琉球を日の植民地と捉えて解放するつもりだったのだが、独立ではなく土復帰運動が圧倒的に優勢であったので、土復帰になった経緯がある。 「沖縄の状況や歴史はハワイとよく似ている」とあるのだが、そんな事は全く無い。ハワイは独立国として諸外国に承認されていた

    沖縄の歴史や社会を調べずにイデオロギー的歴史観を振り回している社会学者の卵: ニュースの社会科学的な裏側
  • サマータイム導入論の裏側にある世代ギャップ

    オリンピックにかこつけてサマータイム(DST)を導入しようと言う動きは2014年10月24日には森元総理の発言であったのだが、安倍総理が8月7日に検討を指示したことで当に導入されるかも知れないと言う不安が広がっている。 実務サイドから見るとうんざりする事しかない*1と思うのだが、官僚や財界の偉い人、一部の政治家が熱心に信奉しており、シニアで高名な経済学者の伊藤元重氏も「デメリットはあれど、サマータイムはやはり導入すべきである」と言っている。根拠に基づく政策形成(EBPM)は無かった事になっており、近年の計量分析の結果を無視しているので、世代ギャップを感じざるを得ない。 1. 多くの計量分析はサマータイムの有害性を主張している 高緯度地域では日の出入り時間の年間変化が大きく、サマータイムで夏場の日照を有効活用できると言う発想は昔からあり、第二次世界大戦から節電目的から導入国が出てきた。しか

    サマータイム導入論の裏側にある世代ギャップ
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