美学会の全国大会のために取り組んでいる課題についてメモっておく。 少しばかりキャッチーに書いてみたが「音楽と感情」の問題は、誰でも関心があってわかりやすい問題であり、かつ現代の音楽に関わる学問の最大級の問題であると思う。 基本的にこの問題は素朴なものである。要するに音楽と感情には何らかの本質的な関係があるか、否かといったものである。そういう疑問が提起される以上、我々は普通、音楽と感情の間に非常に強い関係があると考えているのである。というのは、「感情とクルマのデザインの間に本質的な関係があるか、否か?」などといった疑問は普通、提起されないから(しかしながら、クルマのデザインについても我々はエモーショナルだとかいう記述はするのである)。 この問題へのアプローチは当然ながらディシプリンによって違う。そして、その異なったアプローチによる考察からは、それまた異なった仮説が提起されるのである。とりあえ