2016 - 12 - 18 『クリスマスの夜に彼女と赤いマフラーを』 小説 昨日はクリスマスだった。生まれて初めてクリスマスにもらった手編みのマフラーは白だった。しかし、今、俺の首に巻かれているいるのは赤いマフラーだ。生まれて初めてできた彼女は若くてかわいい。そして、俺の目の前で微笑んでいる。最悪のクリスマスだ。 スポンサーリンク 山田澄雄30歳。独身。サラリーマン。現在、彼女なし。クリスマスの夜、仕事が終わっても、クリスマスデートをする相手がいない。今年も、コンビニで焼き肉弁当とビールとビーフジャーキーを買って自宅に帰る。男の一人暮らしの食卓に色鮮やかな野菜が並ぶことはない。ビール片手にコレクションしてある映画の中から、トム・ハンクス主演の『ビッグ』見る。大人になることを夢見た少年が、突然35歳の大人に変身して、恋や仕事を経験して大人の大変さを知る。大人になっても何一ついいことがない。