パット・メセニーのソロ作といっても、今までのソロ・アルバムから聴こえたサウンドを想像していただくと間違います。わたしが「一人メセニー・グループ」とよぶサウンドが、シンフォニックにここに息づいているのですから。 まず、左側の写真をつらつらと見ていただきたいのです。ピアノ、ベース、ドラムス、ヴィブラフォンに瓶の数々と、いろいろな楽器が写っています。これらをパットの指示の下で演奏するのは、「オーケストリオン」と名付けられた自動演奏システムです。 これは、19世紀末に端を発し、今回パットの尽力で最新のテクノロジーを駆使して完成したものだそう。 当然、このアルバムの音作りの過程は、これまでのパットのどの作品とも似ていません。そして、彼のマルチ・ミュージシャンぶりを初めて披露するものにもなりました。 インタヴューを申し込み、ようやく実現したのは、ライナーノーツの締切日のことでした。以下、パットとの会話