目の前に引かれているのは、単なるキャリアのフィニッシュラインではない。新しい夢へのスタートラインでもある。自転車ロードレース世界最高峰の舞台で、17年間、プロ選手として戦い続けてきた別府史之が、次のステージへと走り出していく。 プロトンを外側から眺めた日 自分が満足できた時こそが、そのタイミングだと決めていた。 2021年が締めくくりの年になるだろうという予感は、シーズンを走り出した時点で、すでに別府の心の中にあった。ただスケジュールは10月上旬まで組まれていたし、そこに向け、しっかり準備も練習も積んできた。 しかし9月18日のプリムス・クラシックが、結果的にプロ生活最後のレースとなった。 「全長200km近いレースを、3分の2ほどで途中棄権した後、最後の50kmくらいを自走で帰ってきたんです。僕がのんびり走っている脇で、まだまだレースを必死に走っている選手もいて。当然、僕を追い抜いていっ
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