1995年 あの時の山形市立商業高校 3年1組の生徒40人なら、きっとおぼえているはずだ。 ある寒い朝、国語の授業中だったかな、数学だったかなー。静かな教室の戸がトントンとノックされて、ガラガラッと入ってきたのは学年主任のおじいちゃん先生、高島だった。 教室内にいる全員なにごとかと高島先生に注目していると、高島先生はなにやら誰かをキョロキョロと探しているようで、僕と目があうと 「峯田、ちょっと話があるので廊下に出なさい」と言った。 僕は教科書をたたんで(開いていたか怪しいもんだけど)、教室を出た。暗いクリーム色した廊下で、高島先生は僕に おじいさんが倒れたと家の方から連絡が入ったからすぐに病院に行ってみなさいと告げた。 おじいちゃんが、もうすぐなんだろうなぁとはなんとなくわかっていた。一年前におばあちゃんが死んでからというもの、もう別人みたくなっちゃって、元気がなくなっていたから。気が抜け