「大地裂け 海吠(ほ)え叫ぶこの夕べ 英霊の声 聴く吾がゐて」。脚本家の倉本聰(そう)さん(76)が7月の靖国神社のみたままつりに奉納したぼんぼりの揮毫(きごう)である。66年前の戦災の焼け野原やがれきが、3月11日の東日本大震災の惨状と二重写しになり、南の海で散った英霊に思いをはせたのだと言う。 66回目の終戦の日を15日に迎える。国に尊い命を捧(ささ)げた軍人・軍属と民間人計310万人への慰霊の日である。深く頭(こうべ)をたれて追悼しつつ、国家と民族のありように思いを致したい。 ≪国民の生命を守れたか≫ 今年、死者・行方不明者2万人を超えた大震災の痛ましさと無念さを日本人は心に刻み込んだ。国家や民族について、自らの問題として初めて考えた人も多かったに違いない。過酷な被災地支援に当たった自衛隊などの国家組織の活躍も目に焼き付いた。津波で町長が亡くなった岩手県大槌町では中学生たちが「ちびっ