室温で電気が散逸なく流れる超伝導の実現は、様々な産業の形態を変えてしまう可能性のある夢のある技術です。その実現の舞台として古くから高圧下の金属水素が着目されていました。2015年にドイツのEremetsらのグループが硫化水素の高圧下高温超伝導を発見して以降、水素化物に注目が集まっていました。 そんな中、人類最初の室温での超伝導状態の実現として、R. Dias等によるC-S-H系高圧超伝導論文がNatureに掲載されセンセーショナルなニュースとなりました。しかし、Eremetsらのグループ含め、Diasらのグループ以外での追試は尽く失敗し再現性の観点から疑問が抱かれていました。加えて、アメリカの物理学者、J. E. HirschらはNatureに掲載されたデータ、特に磁化率のバックグラウンド信号除去の取扱に疑義があると批判を続けていました。その中で、Hirschの批判論文が撤回されたり、Di