ブックマーク / filmmer.hatenablog.com (9)

  • 最近読んだ面白い小説: 高瀬隼子「水たまりで息をする」 - analogue life

    最近読んだの中で、高瀬隼子さんの「水たまりで息をする」が抜群に面白かった。 ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。 水たまりで息をする (集英社文庫) 作者:高瀬 隼子 集英社 Amazon 浄水場から都市の配管を経由して蛇口から出てくる水道水を「ケガレ」として感じる男の話と聞くと、鈴木光司が「仄暗い水の底から」で表現した水にまつわ

    最近読んだ面白い小説: 高瀬隼子「水たまりで息をする」 - analogue life
  • 写真集のすゝめ - analogue life

    ごく親しい人との写真やプライベートな写真だけを集めた写真集を10年くらい前から不定期に作っていた。 引っ越しだとか転職、パートナーとの関係が変わったような節目に合わせて、それまで撮っていた写真をまとめた自分のためだけの写真集。もちろん販売はしないし、それこそ自分用に1冊だけ作っていた高コストな冊子。 STILL LIFEという名前を与えたこのシリーズは、再現性のない一瞬をどうにか捉えようという趣旨で作っていた。大袈裟にいえばその場限り、その瞬間かぎりの寸劇のような写真集。 子供が生まれたあとあまりの忙しさと余裕のなさで2018年を最後にやめてしまったのだけれど、昔の写真を眺めていると20代後半の頃に接続していた社会や人間関係、感情的もしくは性的な繋がりや指先で辛うじて捕まえていたあやふやな希望のようなものからすっかり離れてしまったことに気が付き、写真集をペラペラめくりながらとても複雑な心境

    写真集のすゝめ - analogue life
  • ファンタジーモノクローム - analogue life

    東京に寄港していたヴェスプッチ号をこの目に焼き付けておきたくて台風が来る前に急いで上京した。 帆船が現代においてもまだ細々と新造されているという話題にも驚いたが、このアメリゴ・ヴェスプッチ号の建造はおよそ100年前の1930年、現存する航行可能な帆船の中では9番目くらいに古い船らしい。 乗船して船のパーツに目を向けると、その美しさと手入れの良さに圧倒された。 所々古さを感じさせる部分もあるが、この船のために作られた金属製の部品や装飾はとても優美で木製の滑車やロープを受ける部材もきちんと磨き上げられいて美しかったし、何よりも乗船していたイタリア海軍の軍人さんの自信に満ちた表情が素晴らしかった。彼らは祖国と、国の歴史を背負っているのだ。 あんな自信に満ち溢れた表情、僕はちょっとできそうにない。 日にだって長い歴史文化はあるけれど、明治維新でちゃぶ台返しやってぶっ壊して西洋の真似事やって戦争

    ファンタジーモノクローム - analogue life
  • ねこがなかまになりたそうにこちらをみていた - analogue life

    この季節になると、大好きだった2匹ののことを思い出す。 大柄な白黒お母さんは、悪性リンパ腫で亡くなってしまった。 どうしても外せない仕事関係者と夕を摂っていたら、の容体が急に悪くなったと家族から連絡があり急いで帰った。 いつもなら走って僕を迎えに出てくる彼女の命が消えようとしていた瀬戸際にどうにか間に合った。戸棚の下でうずくまって僕の帰りを待っていたお母さん、もう立てない程弱っていたけれど、どうにか喉を鳴らして最後の挨拶をした後、ぐったりと息を引き取った。 もう一匹は茶色い毛皮のちょっとドジな。 くしゃみが止まらなかったので病院へ連れて行ったが既に手遅れだった。どうにか帰宅させたかったけれど、冷たい病院のステンレスケージの中で息を引き取った。元々病院が大嫌いな子だったので、躊躇ってしまった僕に責任がある。 1週間に立て続けでの火葬を行い、この子たちを知る人を集めてささやかなお

    ねこがなかまになりたそうにこちらをみていた - analogue life
  • 黄昏にむかって - analogue life

    大雨につきやることがないのではてなブログをほっつき歩いていると、ITは既に面白くなくなったという趣旨のブログの記事を目にした。 山のようについたコメントを追ってもIT門外漢の自分に細かいことは解らない。 技術の発展にワクワクしなくなったという主張は大いに同意できるのだが、自分自身を振り返ってみると、ITやネットに限らず物事に熱中することが極端に少なくなってしまったのは、世界が退屈なわけではなく、単純に加齢によって感性が劣化してしまったのではないかという恐怖や不安が芽生えてくる。 そう考えると、30歳くらいから先は黄昏なのかもしれない。 もしかしたら自分がウロウロしていた世界が想像以上に狭かったからかもしれないし、実は最近「当に写真を楽しんでいるのだろうか?」という疑問すら時折浮かんでくる。 当に感性が劣化してしまったのかを確認するために、自分の知らない国を旅してみたい。カラーとモノクロ

    黄昏にむかって - analogue life
  • iPhoneとSNSを手元から抹消した - analogue life

    突然だけど、僕はスマートフォンとSNSの依存症だった。 夜中に起きたら無意識にスマートフォンを手に取ってしまうし、ほんの少しの信号待ちでもSNSやニュースを眺めてしまう。動画配信をだらだら見る癖がなかったのが不幸中の幸いだったが、それでも株価からニュースからSNSの言説までを四六時中小さなディスプレイを通して眺めていた結果自分の思考が想像以上に疲弊し、いつの間にかSNSの論調に飼い慣らされてしまっていた。 こんなことを書くとオカルト初段認定されてしまいそうだが、スマートフォンの画面から絶えず流れてくる言説に晒されていたら、次第に思考がネット言論のトレンドに多かれ少なかれ飲まれてしまうと思うし、思考が変わるということは、行動も変わるのだ。 2000年代初頭に旧共産圏国家で相次いで起きたカラー革命は、スマートフォンとSNSが政権転覆の原動力になったのと同様に、直近のコロナ禍やウクライナ戦争にお

    iPhoneとSNSを手元から抹消した - analogue life
    sanintanoshii
    sanintanoshii 2024/08/28
    なんか納得しました。
  • 今月のあとがき: 2024年8月 - analogue life

    その月にあったささやかなあれやこれ、ひとつの記事に纏めるほどではないお話を書き綴る今月のあとがきシリーズが長続きしている。日記というより与太話の詰め合わせだけど、今日のはてなブログに取り上げて頂いたり、反応を頂けているのでとても嬉しい。 いつもありがとうございます。 台風7号が近づくということなので全力で休んだ ブラッドベリの短編を貪るように読んでいる 日銀行券の強靭さよ・・・ カジュアル仕事着を探しにユニクロに行ったら眩暈がして手ぶらで帰ってきた GRIIIの値段がおかしいことになっていて戦慄している ウェルビーイングについて 台風7号が近づくということなので全力で休んだ 気力の限界!いのちをだいじに! 組織人としてのあたくしのモチベーションはたぶん30歳くらいで尽きてしまった。これから先はどうにか個人で仕事をして生きていきたい。でもどうやって? わからない…ずっとここでモヤモヤして立

    今月のあとがき: 2024年8月 - analogue life
  • いま、そこにある景色を残しておこう - analogue life

    宮崎で大きな地震があったと思ったら、小田原でも同じくらい大きな地震が起きた。 盛者必衰、物事は常に移り変わっていくし形あるものは壊れる。 今日当たり前に享受していた幸せな時間も明日になれば様変わりしているかもしれないし、当たり前のように眺めていた景色も、資と癒着した政治家の力により太陽光パネルで埋め尽くされてしまうかもしれない。家の近くのお屋敷も、不動産デベロッパーが破壊して6分割した上に安っぽい狭小住宅地にされてしまうかもしれない。いま目の前にある景色はいつまでも続かないのだ。 そんなことを考えていたら無性に身の回りの景色を撮りたくなって、モノクロームフィルム詰めたカメラをぶら下げて海や山へあてもなくぶらぶら散歩に出かけた。 フィルムで撮る写真はいつもざらざらでデジカメのようなディテールはないけれど、その曖昧さが良いのだ。写真は多くを語る必要はないし、雄弁でなくたっていいんだから。 B

    いま、そこにある景色を残しておこう - analogue life
    sanintanoshii
    sanintanoshii 2024/08/16
    モノクローム素晴らしいですね。
  • 水風呂のすゝめ - analogue life

    毎日めちゃくちゃに暑い。 ここ数年「およげ!たいやきくん」のように昼間は太陽とオフィスビルとアスファルトの三方向から押し寄せる35℃オーバーの熱に挟まれ、夜になっても最低気温が27℃くらいまでしか下がらない。そんな理不尽な東京鍋の中の暮らしが毎年のことになっていて、いつの間にか「どうなってんだ日…こんな国いやんなっちゃうよ」が口癖になっている。 先日プーケットから帰ってきた知り合いに「日の夏の方が不快かもしれない」とまで言われ、そんなわけないだろと思いプーケットの気温を調べたら、最高気温が30℃そこそこで止まっているのでプーケットの方が確かに快適のように思える。この記事を書いている時点の週間気温を見た限りだけど、やっぱり東京の気温と湿度はおかしいんだと思う。 そんな猛暑がずっと続いているこの10年くらいの話題は節電とエアコンの設定温度が幅を効かせるようになってしまった。 エアコンの設定

    水風呂のすゝめ - analogue life
    sanintanoshii
    sanintanoshii 2024/08/14
    私が入会しているスポーツジムのサウナの水風呂はメチャメチャ冷たいです。とても気持ちが良くてくせになります。
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