この男は1841年に死んだが、それ以来、ずっと首をさらし続けている。 ポルトガル・リスボン大学医学部の解剖学教室に足を踏み入れるとすぐに気づくのは、ホルマリン漬けの人間の頭部だ。手の透明骨格標本の隣の棚の上に置いてある。少し黄色がかっているが、目は開いており、保存状態は良好だ。 廊下を行き交う医師や解剖医たちは、見慣れすぎてしまっているのか、無関心を装いながら通り過ぎていく。 この首だけの御仁ディオゴ・アルヴェスは、ポルトガル初の連続殺人犯であり、ポルトガル最後の絞首刑になった人物ということでその名を知られている。 だがこれは半分本当で、半分は嘘だ。 アルヴェスが犯した罪 ディオゴ・アルヴェスは、1810年ガリシアに生まれ、この町の裕福な家に仕えるため、若くして首都リスボンにやってきた。こうした南への出稼ぎは、多くのガリシア人にとってごく一般的なことだった。 だが、アルヴェスはすぐに犯罪の