病院のM&A(買収・合併)は今や完全に一つの市場として定着した。インターネット上を見れば、病院の売買を扱うコンサルティングファームのウェブサイトがひしめき合っている。そこに記載されているのはほかでもない、「売り」と「買い」を希望する病院のデータだ。「東京都内の有名医大が800億円で身売り先を探している」といった話は後をたたない。ここまでこの分野が活況を呈しているのはなぜなのか。 最大の理由は小泉純一郎政権下で進められた毎年2200億円に上る社会福祉関連費用の削減だ。病院経営は年々苦しさを増す一方で、倒産に追い込まれるケースも決して少なくない。売りサイドの供給はこうした流れで増えてきている。 一方の買い側の事情は一様ではない。最近顕著な例は、経営に行き詰まった病院を大規模な医療法人が買うパターンだ。国際医療福祉大学(高木邦格理事長)を経営する高木グループなど、専門家主導のもと、積極的にM