アーカイブ 新宿駅西口地下広場のイベントコーナー。四方をガラス扉によって囲まれた470㎡の空間は、東京都道路整備保全公社によって一日126万円の使用料で貸し出され、連日、各地の物産展や即売会が開催されている。夜間はガラス扉が施錠され、誰も立ち入ることがないよう警備員が巡回を続けている。 JRと私鉄各駅をあわせた新宿駅の一日の乗降客数は約326万人(2011年)にのぼり、ギネスブックによって世界一と認定されている。その中のかなりの数の人々が連日、このイベントコーナーに立ち寄ったり、前を通り過ぎたりしているわけだが、かつてここに「ダンボール村」と呼ばれるコミュニティがあり、二百人近い人々の暮らしが営まれていたことを記憶に留めている人はどれだけいるだろうか。 通常、人々が集い、暮らすコミュニティは自然発生的に生まれ、消滅する時も自然に消えていく。しかし、かつてここに存在した「村」の生まれた日と亡