おれの両の手はごつごつしていて、長年つかいつづけてきた腕も変なふうに曲がっているらしい。自分の顔にふれてみれば、ふかく刻まれた皺が指先をくすぐる。しかし、おれには、それが見えない。おれの視界は真っ暗闇のなかにある。 おれが両のまなこを失ってから、どれだけの時間が経ったのか、もうはっきりとはおぼえていない。ただ、光を失うまえ、最後に見たあの光景だけはしっかりと頭の中に刻まれている。おれにははっきりと見えているのだ。 あれはもうずいぶん昔のことだった。革命がおきた年よりも、さらに何年も前のことだ。おれは故郷の村から大君の宮につかえる人夫として都にかり出された。おれは両の親からしっかりした体躯と、物静かな気性を受けついでいたし、七族しらべても凡庸な百姓ばかりで、怪しむべきところもなかったからだ。おれは囲りにながされるままにお仕え人夫となったのだった。 おれの仕事場は、大君の奥の宮だった。一段と高