言ってもらおうか。君の原子力発電知識を。そして、私の開発した、いしだ壱成と同等の原発知識を持つロボット、その名も「ひとつ屋根の下」と対決してもらおう。 ここは、情報が一番入ってきて、一番出ていかない福島第一原子力発電所事故統合対策本部である。一年前、東急ハンズの浅はかウケ狙いのコーナーで買ってきた「猛犬注意」のプレートを貼っつけてある。 アポなしでやってきた天才・学歴詐称・前科あり世直シストの瀬戸内海大説教丸は「だらしないったら!」と叫びながら、ドアを蹴破った。 中にいた政治家と東電社員は一斉にでかいテーブルの上の書類や地図におおいかぶさった。 「見やしない、見やしないよ」 とめんどくさそうに手を振る瀬戸内海。入り口の近くにいた若手数人が、飛びかかろうとするところで、瀬戸内海は、彼らの肩を指さして言った。 「毛虫ついてるよ」 若手たちは、若手といっても四十代なのに、肩を手のひらで盛んに払い