仙台ロジック倶楽部 ラムダ計算ABC 数学セミナー92年8月号より A. ラムダ計算とは 今から60年程前、プリンストン大学の若手論理学者A.チャーチが、関数の新しい表記法を提案しました。ラムダ記法と呼ばれるその表記法では、例えば二乗を計算する関数は λx.x^2 と表します。従来の"f(x)"という書き方は、それが関数を表すのか、関数のxにおける値を表すのかが曖昧なので、ラムダ記法では、関数fのxにおける値をfxで示し、xにおける値がf(x)となる関数fをλx.f(x)と表すのです。 "f(x)"という表記法の欠陥は、高校の数学までではほとんど表面化しませんが、大学に入ってから定義域や値域が関数の集合になるような高階関数(オペレータとか作用素とも呼びます)を扱いだすとすぐわかります。作用素などというとひどく特殊なもののようですが、関数f(x)にその導関数f'(x)を対応させる微分演算子D