おれは忘れもしない。 小学校の社会科で初めて農業や貿易について学んだころ、おれは調べ学習のため図書館に来ていた。 そこで手に取ったのは、たしか日本の食糧事情についての本だったと思う。 その中の統計表にあった「熱量」という言葉の意味が、その時のおれにはわからなかった。 だが時を同じくして国語辞典の引き方も教わったばかりのおれだ。 早速家から持ってきていた辞典で「熱量」を調べると、そこにはこう書かれていた。 「カロリー」と。 えっ、カロリーってあのカロリー? あるある大辞典で忌み嫌われているあのカロリー? おれは混乱した。 作物の生産量ならキログラムとかトンとか、重量で記述するものじゃないの? もちろん今ならわかる。 食料自給率をカロリーベースで見るだとか、そういう意図の下で作られた統計だったのだろう。 だが当時は混乱した。 しかしこの事実は幼いおれの脳裏に深く刻みつけられた。 「熱量とはカロ
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