「優良企業」という言葉がある。ネット上にはこの「優良企業」のランキングが山ほどあり、一般的に「優良企業」と言われている企業は、就職活動における人気も高い。「優良企業」に就職できれば人生安泰、なんて幻想を抱いている学生も少なくない。 この「優良企業」という言葉は、実際にはかなりミスリードな言葉だ。「優良企業」が、「誰に」とって優良なのかがはっきりせず、曖昧なままで使われているからである。大きく(1)「株主」にとっての優良企業、(2)「消費者」や「顧客」にとっての優良企業、(3)「従業員」にとっての優良企業という3つの見方ができると思うが、これらが区別されることなく使われてしまっている。 (1)、(2)、(3)にすべて正の相関があるなら、これらが区別されなくてもそれほど問題は生じない。しかし、実際には(1)(2)と、(3)には負の相関がある。すなわち、株主や顧客にとっていい会社であろうとすれば