そこにあったのは殺伐さだ。アートハウス系ゲームイベントA MAZEの取材ではじめてドイツ・ベルリンに降り立ったとき、最初に感じたのは “第二次世界大戦や冷戦の時代を乗り越えた歴史ある街”でも、 “音楽と美術に優れた街”でもなんでもなかった。 殺伐さを感じたのはベルリンに到着したのが夜11時を過ぎたせいもあるかもしれない。ブランデンブルク空港から予約したホテルへ向かう道のりには壁にスプレーの荒い軌跡がどこまでも続く。東京の何倍もの量がある。それは街に荒涼とした気配を産む。 ベルリンの夜は暗い。路上は鉄に似た匂いがする。日本の渋谷や新宿のようにデジタルサイネージの光が街全体の姿を照らしはしない。街灯だけが断片的に街の風景を映す。目に映るのは煙草の吸い殻が落ちた道、グラフィティの描かれた壁ばかりだ。通りを歩くと中東系やアフリカ系をルーツとした人々とすれ違う。整然と並ぶ建物の壁を横切るようにスプレ
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