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ブックマーク / blog.a-utada.com (16)

  • ウェブで成り立つ課金メディア: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    「ウェブの情報はタダ」とみんなが思うようになり、 ネットでは課金サービスが成り立たないと信じられている。 しかし、かならずしもそうではないのかもしれない。 ●いかがわしいネット・ビジネスが秘めている可能性 新聞が衰退し、「焼け野原」状態になったニュースメディアからどのような新しい芽が出てくるのか。ここ何回かそうしたことを書いてきたが、ひそかに流行しているあるネットビジネスが近未来のニュースメディアのひな型になりうることに気がついた。 それは「情報商材」だ。 情報商材というのは、「こうすれば儲かります」といった謳い文句で、儲けるためのマニュアルなどを売る情報ビジネスだ。 こうした情報商材の宣伝・販売をしているサイトやメルマガはかなりの数にのぼる。「情報商材って何それ?」と思った人も、言われてみると、そんなのを見た記憶があるのではないか。 「あんなものが近未来のニュースメディアのひな型か」と思

  • 「新聞崩壊」後のニュースメディア: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    アメリカでは、日以上に「新聞崩壊」が進んでいるが、 ネットのニュースメディアはどのようなものになるのか。 一足早く予測してみよう。 ●「すべてはいったん灰に帰する」 前回まで新聞の危機的状況についてあれこれ書いてきたが、結局のところ新聞は、これからどうなっていくのだろうか。 アメリカの新聞サイトでは、「新聞はどうなる?」とか「有料化すべきか」などの議論が飛び交っているが、ロサンジェルスタイムズは、二人のジャーナリストに意見を戦わさせている。 有料化について、「発行元はネットでも課金する必要があるし、消費者は支払うべきだ」と一人が言うのに対し、もう一人は、「『べきだ』という理屈で組み立てられたビジネスでうまく行った試しがあるのか」などと反論している。後者のジャーナリストは、新聞がなくなり、しばらくは地元のニュースが伝えられなくなる地域も出てくるだろうが、「われわれはニュースを集め共有できる

  • リンク機能が生んだニュースメディアの危機: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ウェブのリンクは、この時代の最大の発明のひとつだが、 この機能がそもそもニュースメディアの生き残りをむずかしくしているのかもしれない。 ●ネットへの移行準備が進む新聞 我が身にやって来なくても、失業や倒産のニュースには気が重くなる。海の向こうの話であってもそうだ。 アメリカではいまや大量の記者がクビになって路頭に迷っている。 3月12日のニューヨークタイムズによれば、アメリカで数少ない全国紙USAトゥデイなどを出している全米最大の新聞発行会社ガネットは、07年と08年の2年間で全体の22パーセントにあたる8300人のクビ切りをしたという。90年代に記者がもっとも多い新聞社のひとつだったロサンジェルスタイムズも1200人の記者を半分にした。ワシントンポストは、6年前に900人以上いた記者を700人以下にした。マイアミ・ヘラルドはすでに減らしている人数からさらに19パーセント減らした。サンフラ

  • ニュース記事を有料に戻す方法: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    「新聞の危機」を超えてもはや「ニュースの危機」だとまで言われ始めたアメリカの大新聞で、有料化実現のために「談合を認めろ」という声まで上がっている‥‥ ●未来の喪失 経済危機によって、「この半年ほどのあいだにまったく別の世界になってしまった」と思っている人は現在、世界中に数多くいるだろうが、ニューヨークタイムズの幹部もまたそう思っているにちがいない。 少なくとも昨年前半までは、アメリカの大手新聞や雑誌はネットの広告収入に自分たちの未来を託そうと、無料で読める記事を大幅に増やす方向に向かっていた。この欄でも紹介したように、ニューヨークタイムズは2007年9月に有料課金を基的にやめ、過去の記事についても1851年から1922年までと87年以降は無料でアクセスできるようにした。タイムやニューズウィーク、スポーツ・イラストレイテッド、ポピュラー・メカニクスなどの雑誌も何十年分もの記事に無料でアクセ

  • 「ネットは無料」の潮目が変わろうとしている?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ネットのニュース記事を有料化しようという動きがアメリカで出始めた。 新聞をめぐる状況がここまで危機的になれば、 そうした動きが出てくるのも当然か。 ●ウェブだけでほんとうにやっていける? 前回、「フリー」というを出版しようとしている米ワイアード誌編集長クリス・アンダーソンの「95パーセント無料、5パーセント有料で黒字転換がウェブ2・0企業では望ましい」という説を紹介した。ニコニコ動画の決算を見たらそんなふうな数字になっていて、何やら説得力があった。 しかし、これはあくまでも「ウェブ2・0企業」、つまりコンテンツを作らず、投稿によって成り立っている場合だろう。コンテンツを作るメディア企業の場合には、これですむのかどうか。 すんでいるのかどうかはともかく、米ウォールストリートジャーナル紙も「5パーセント有料」に近い数字になってきたようだ。同紙は、無料で読める記事を大幅に増やしたものの、いまも

  • 「何でも無料」時代のネットのビジネスモデル: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    「95パーセント無料、5パーセント有料で黒字転換する」というのが、 ウェブ2・0時代のネットでは望ましいと 「ロングテール」の著者がブログで書いている。 ●オープンソース・プロジェクトがときに独裁的な理由 「ロングテール」という言葉を流行らせた米ワイアード誌の編集長クリス・アンダーソンが今年夏前に出す新刊を前回とりあげたが、彼のブログもおもしろい。3月12日には、オープンソースとソーシャルメディアは、会社と国のような違いがあると書いている。 会社には利益追求などの目的がある。経営者の強いリーダーシップのもと、ときに独裁的に経営したほうがうまくいく。一方、国は国民の役に立つことが第一だから民主的な運営が合っている。 ブログのようなソーシャルメディアも特定の目的があるわけではない。人びとの役に立つのが目的だから民主的な運営がふさわしい。一方、オープンソースのプロジェクトといえば、リナックスやウ

  • 日本語本は売れるけど、日本語が亡ぶ危機感はない日本人: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ネット発で注目度が高まった『日語が亡びるとき』は、 英語の覇権が進み日語が亡ぶと「日語の危機」を訴えている。 しかし、その提言は受け入れられるのか。 ●日語のが亡びるとき 水村美苗氏の著書『日語が亡びるとき』は、インターネットという技術が追い打ちをかけて人類は「英語の世紀」に入り、「叡智を求める人」は国語で書かれたものを読む気がしなくなるという。 このおもしろく刺激的だが、そればかりでなく、ネットでどう受けとめられたのかも興味深い、前回、少し触れたが、もう少しだけ見てみよう。 の奥付は10月31日なので、10月半ばに出版されたのだと思うが、11月7日からの数日でかなりのネット評が出ている。梅田望夫氏が11月7日にブログで、「水村美苗『日語が亡びるとき』は、すべての日人がいま読むべきだと思う」というタイトルの記事を書いたからだ。 さらに翌日、梅田氏が、はてなブックマー

  • グーグルの黒船がやってきて、日本語の壁が壊れ始めた: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    語のが言葉の壁に守られ、グローバリズムの嵐とは無縁だった時代は過ぎ去ろうとしている。 グーグルという黒船がやってきて大砲をぶっ放した‥‥ ●突然出されたグーグルの「公告」 2月24日に、グーグルが新聞に公告を出した。かなり大きなスペースだったが、文字ばかりで、気がつかなかった人もいるだろう。冒頭に「法廷通知」とあって次のように書かれている。 「米国外にお住まいの方へ:和解は米国外で出版された書籍の米国著作権の権利も包含しているため、貴殿にも影響することがあります。書籍または書籍中のその他の資料等の権利を有している場合には、適時に除外を行なわないかぎり、和解に拘束されることになります。」 日の新聞に載せておいて「米国外にお住まいの方へ」というのはいかにも空々(そらぞら)しいが、米国外で同じ文章を一律翻訳して出したのだろう。日がグローバルな世界に呑みこまれようとしていることを

  • オバマの参加型インターネット政治: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    オバマの経済政策第一弾は、かろうじて議会を通過したが、 法案が通るだけでは十分ではない。 有効性を国民に納得してもらうことが必要と、斬新な手法をとっている。 ●ネット普及15年後に実現した直接民主主義は? オバマが政権運営のために再編成した草の根組織「アメリカのための団結(Organizing for America)」についてここ何回かとりあげてきた。 そろそろ違う話に移ろうと思っていたのだけれど、実際に始まった活動はユニークで興味深い。 もう少し見てみることにしよう。 インターネットが一般に使われるようになって15年ほど経つが、当初思っていなかったことがいろいろと起こった。 「インターネットによって直接民主主義が可能になる」といったことは早くから言われていたが、オバマが始めたのは、ひとつひとつの政策について国民投票を行なうなどといったこととは違った形の直接的な政治手法である。 オバマ陣

  • オバマの迷い――政権発足後の草の根ネットワーク: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    オバマは、草の根組織を使って大統領の座を勝ちとったが、 政権発足後、何百人もの専従活動家を選挙区に張りつけ、 ネットを駆使して、政策実現に役立てると見られているが‥‥ ●「オバマ2・0」の実態は圧力団体? オバマ陣営は、選挙を勝ち抜く過程で築き上げた草の根ネットワークを活かそうと、公式サイトでオンライン調査をしたり、支援者たちの集会を開いて検討を重ねてきた。 こうしたネットワークは、次期大統領選挙でも力を発揮するはずだが、それはまだ少し先のことだ。 支援者たちは、献金や有権者への働きかけなどの「支援疲れ」もしており、少し休みたいとの声もある。しかし、経済混乱は深刻になっていく一方で、オバマ政権は、一刻の猶予もできないとフル回転している。支援者たちについても放置する気はない。むしろ引き続き活動を続けることで、ネットワークを維持し、再選につなげていくつもりのようだ。 就任3日前にオバマは、支援

  • グーグルの傲慢: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    利用者の立場に立ったサービスを提供していたグーグルは、 どこへ行ってしまったのだろう。 いまや、神経を逆なでし、不安を感じさせる変わり果てた会社になってしまったのか。 ●情報が公開されてしまうグーグルのマイマップ 昨年も、グーグルはずいぶんわれわれを驚かせてくれた。「クロム」というブラウザを突然公開したし、ストリートビューのその場にいるようなリアルな街路の写真にもびっくりさせられた。 ストリートビューは便利ではあるが、キスをしている高校生の写真なども含まれていたりと、ずいぶん荒っぽい。自治体などからも対応の申し入れが相次いでいる。これから書くような事例もあわせて考えてみると、最近のグーグルにはそもそも構造的な問題があるのではないかという気がしてくるが、少なくとも当初ストリートビューについてはそれぐらいの感想だった。 グーグルがその傲慢さにおいて「一線を越えた」ことを強く感じたのは、グーグル

  • ウェブが街なかに出て行くとき: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ネット端末を置けばそこにウェブ情報を表示できるし、 顔認識技術を使えば、どんな人が通ったかもわかる。 こうした技術が組み合わさって、近未来に何が起こるのか? ●普及し始めたデジタル・サイネージ ウェブが街なかに進出するとどんなことが起こるのか。 湯川鶴章氏の『次世代マーケティングプラットフォーム』では、そうした近未来を予感させる動きが報告されている。 デジタル・サイネージと呼ばれる広告ビジネスが注目されている。デジタル・サイネージというのは書きかえ可能なデジタル看板のことで、アメリカでは小売店やバー、レストランなどに設置され始めている。 電子看板そのものは、日でも珍しいものではない。もっともふつうに目にするのは、駅や空港の発着案内だろう。古い便の案内が順次消えていき、時々刻々更新されていく。駅や空港のいたるところにある発着案内すべてを手動で変えようとすればとてつもない手間だが、瞬時にいっ

  • オバマ新大統領の誕生に期待は高まるが‥‥: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

  • 記事を無料公開するのは損か得か? : 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    アメリカの新聞サイトへのアクセスは、05年夏頃から急成長を始めた。 こうした変化は、アメリカの新聞社にどのような変化をもたらしたのだろうか。 ●新聞サイトを見ている人の利用パターン ニューヨークタイムズは、「タイムズセレクト」と名づけた有料課金を05年9月に始め、2年後の昨年9月にやめている。グーグルやヤフーなどの検索からのアクセスが予想以上に大きく増えたためと理由を説明しているが、実際その間、新聞サイトへのアクセスは急増している。 米新聞協会のサイトに掲載されているニールセン・オンラインのデータによれば、ニューヨークタイムズが有料課金を検討していたと思われる05年7月まで は、月1回以上、新聞サイトにアクセスした人(ユニーク利用者)は4000万人から4400万人ほどのあいだを上下していた。ページビュー(以下PV)も 平均すると17億ほどだった。前年も、年平均のユニーク利用者数が4100万

  • 「拷問が普通」になったアメリカ : 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    米人気ドラマ「24」は2話に1回行なわれる拷問に 軍やFBIの取り調べ官からも批判が寄せられた。 このドラマの第2の主人公は「拷問」かもしれない。 ●オバマと混同された「24」の黒人大統領 アメリカの人気ドラマ「24」の決断力に富んだ黒人大統領の登場がオバマの支援になったのではないかと前回書いた。こうしたことはアメリカのメディアでも言われている。 黒人大統領デイビッド・パーマーを演じたデニス・ヘイスバート自身も、オバマ支持を明確にしているばかりか、レストランに行くと、「あなたに投票するよ」と真顔で言われてびっくりしたなどと、インタビューで答えている。 とはいえ、「24」がオバマの味方をしたという批判がメディアで出ているわけではない。 パーマーが大統領になったのは02年の「シーズン2」で、そのときには、オバマが大統領候補になるなどと思っている人は誰もいなかった。彼が注目されるようになったのは

  • 歌田明弘の『地球村の事件簿』: 新聞収入はネット版に完全移行すると現状では1/10以下

    ネット利用者は、メディアがネットに移行するのは当然すぎる話と思うが、 メディアは、みずからの「死」を受け入れながらでしか進行しないのかもしれない。 ●ネット版に移行すればするほど苦しくなっていく新聞 新聞が、ネットに進出して何が起こっているか。数号前にとりあげた『グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?』というは興味深い数字を載せていた。 ニューヨークタイムズ紙の印刷版の有料購読者数は平日版が110万人、日曜版が170万人なのに対し、無料オンライン版の利用者は月4000万人いるそう だ。しかし、印刷版の年間収入が15億ドルから17億ドルあるのに、オンライン版は2億ドルしかないという。オンライン版の収入が少ないことは容易に想像 できるが、具体的な数字を目にすると、いろいろなことを考えさせられる。 アメリカでは日曜版だけ、あるいは平日版だけの定期購読者もいる。平日版を30倍

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