なべて世の 風を治めよ 神の春 戦乱の嵐が吹きすさぶ室町時代、三嶋大社の社前で、神の力によりその嵐を治め、平和の春の到来を願う気持ちが込められた句。 これは、室町時代後期の連歌師、飯尾宗祇【いのおそうぎ】(1421~1502)が、三島に戦闘で滞陣中の東常縁【とうのつねより】から「古今伝授【こきんでんじゅ】」を授けられている間に詠んだ独吟【どくぎん】「三島千句」の発句【ほっく】(始めの句)です。 「古今伝授」とは「古今和歌集」の解読・解釈を伝えたもので、平安時代末、藤原基俊から俊成・定家…と代々二条家に伝えられ、次いで東常縁に伝わり、宗祇に伝授されたことにより成立した歌の道の宗匠を示すものです。宗祇はこれを三条西実隆【さねたか】他の三流に伝え近世末まで受け継がれました。 宗祇への古今伝授は1471年(文明3)正月から4月始めまで三島で、6月から7月は三島または東常縁の本拠地、郡上【ぐじょう】