児童虐待などで親元で暮らせない子どもの受け皿について、厚生労働省は31日、就学前の子どもの75%以上、就学後の50%以上を里親に担ってもらう新たな目標を公表した。いまは複数の里子を受け入れるファミリーホームを含めて2割に届かず、大半が児童養護施設などの施設が担っている。多くの子どもがより家庭に近い状況で暮らせる環境づくりを促す狙いだ。 この日開いた親元で暮らせない子どもを養育する社会的養護の新しいあり方を議論する有識者検討会に示した。大筋で了承され、近く導入される。新しい目標では、特定の大人と安定した関係をつくる「愛着形成」のために家庭に近い環境で育てることが望ましいとし、就学前の子どもは原則、施設入所を停止することも掲げた。 3歳未満はおおむね5年以内、3歳~就学前はおおむね7年以内に里親とファミリーホームへの委託率75%を達成させる。就学後の50%以上については10年以内の目標達成を目
『子どもたちの階級闘争』(ブレディみかこ/みすず書房) 日本で格差社会と言われるようになって久しいが、イギリスでは保育園にも明確かつゆるぎのない格差があることをご存じだろうか。「ソーシャル・アパルトヘイト」(格差が子どもたちの発達に差を生んでおり、加えて、裕福な子と貧しい子が分離され触れ合うことがなく暮らす状態)の一端だ。 そんなに小さいうちから格差と驚くなかれ。イギリスはもともとが階級社会で、日本にかつてあったような国民総中流意識はない。しかし、今のイギリスでは、この格差があまりに世代間で固定化していることが問題となっている。この問題の実態を具体的に描いたのが、『子どもたちの階級闘争』(ブレディみかこ/みすず書房)、英国在住の女性日本人保育士が書いた、2008年から2016年までの日記風レポートだ。著者はイギリス人の夫をもち、社会の底辺にある託児所で働いている。ちなみに社会の底辺とは、「
でもお母さんはアルコール依存になってしまいました。お酒を飲めば、ゆいちゃんの前でもリストカットをします。ゆいちゃんには絶対に手をあげないけれども、お父さんに暴力を振るうことはあります。病院に連れて行こうとすると、お母さんは激しく抵抗します。ただ実際に病院に行くと、問題がないふうを装うので、医者がお母さんを入院させることはないのです。
虐待された子どもたちを受け入れる「一時保護所」について、厚生労働省は初めて全国的な実態調査に乗り出す方針を固めた。児童虐待の急増で利用が増えており、劣悪な環境の施設がないか点検する狙い。生活環境や職員の対応を調べ、改善につなげる。 調査は全国共通の評価基準をつくり、一時保護所が第三者機関に委託して行う予定。厚労省が25日にも開かれる有識者検討会で方針を示す。 一時保護所は児童相談所の付属施設で、全国に136カ所ある。虐待を受けたり非行で保護されたりした、おおむね2歳から18歳未満の子どもを一時的に受け入れる。対応件数は増加傾向で、2015年度は2万3276件で前年度から1271件増えた。 定員を超えて受け入れている施設も8カ所あり、環境悪化が懸念されている。公的な調査は横浜市と堺市が独自に行っているだけで、厚労省が実態を把握する必要があると判断した。 15年から2年かけて10カ…
児童虐待などで親元で暮らせない子どもの受け皿づくりに向け、厚生労働省は新しい目標を打ち出す方針を固めた。より家庭に近い環境を重視することが柱で、里親への委託や特別養子縁組を優先。児童虐待の急増が背景にあり、特定の大人と安定した関係づくりを促す狙いだ。 こうした受け皿で育てることは「社会的養護」と呼ばれ、児童福祉法に基づいて施設などが担っている。厚労省は25日にも開かれる有識者検討会で、新しい目標を提案。了承されれば、来月にも導入する。 社会的養護はもともと孤児への対応が主眼で、2010年時点で施設が9割を占めていた。だが、虐待された子どもは集団生活よりも特定の大人による対応が望ましいため、11年に里親やファミリーホームなどの割合を29年度までに3分の1に引き上げる数値目標を設定。15年4月時点には15・8%になった。 新しい目標は、児童虐待を未…
虐待を受けて入院し治療が終わったにもかかわらず、受け入れ先がないなどの理由で退院できなかった子どもが去年までの2年間で350人余りいることについて、塩崎厚生労働大臣は「児童相談所がなぜ子どもを病院に放置するのか、理解できない」などと述べ、実態調査を行ったうえで対策を検討することを明らかにしました。 これについて、塩崎厚生労働大臣は21日の閣議のあとの記者会見で「児童相談所がなぜこうした子どもを病院に放置するのか、理解できない。虐待の対応が増えて忙しいという話もあるが、子どもの発育によくないだけでなく、病院にも迷惑をかけている」と述べ、近く全国の児童相談所を対象に実態調査を行ったうえで対策を検討することを明らかにしました。 そのうえで、「子どもが健全に育つ権利を守るためにも、子どもにいちばんあった形での養育を実現したい」と述べ、施設への入所だけでなく、より家庭的な里親への委託や、特別養子縁組
保護者による入院中の子どもへの虐待は、全国各地の病院で起きている。小児科医らによる今回の調査では、その一端が明らかになった。 身体的な虐待では、感染症で入院した子どもに対し「激しく怒鳴っている、布団を覆せて殴っている」と同室の子の親から相談があった▽肋骨(ろっこつ)を複数骨折していたが、母が面会した後、新たな骨折が判明、といった事例があった。 保護者が、子どもをわざと病気にして献身的に看護し、周囲の注目を集めようとする「代理ミュンヒハウゼン症候群」のケースも多い。子どもの点滴に排泄物(はいせつぶつ)や異物を混入する、などだ。また、輸血拒否など適切な治療をさせない「医療ネグレクト」もあった。 調査チームの一人で、国保旭中央病院(千葉県旭市)小児科の仙田昌義医師は「入院中の虐待は予想以上に多かった。対策を考えるため、その後の経過や、児童相談所、警察がどう関わったかなどをさらに詳しく調べたい」と
虐待によるけがの疑いなどで入院中、院内で保護者から虐待を受けた子どもが、昨年までの2年間に28人いたことが小児科医の全国調査でわかった。入院の際、保護者以外に付き添う人の確保が難しいことが背景にあり、病院が必ずしも安全な場所になっていない実態が明らかになった。 前橋赤十字病院(前橋市)小児科の溝口史剛医師らが今年1月、小児科病床がある全国963病院を対象にアンケートを郵送。454病院(47・1%)から回答を得た。 調査の報告書によると、虐待の疑いなどで入院した事例は2015~16年に全国で2363人。その1・2%にあたる28人が、看病で付き添い中の保護者から院内で虐待を受けていた。 また、この2年間に限らず、保護者による院内虐待について尋ねたところ、65人の事例が寄せられた。うち35人は死亡につながりかねない重度の虐待で、窒息による低酸素脳症の女児が親の付き添い中に大腿(だいたい)骨を骨折
虐待などで親元で育てられない子どもの「養育里親」として、県は5日、性的少数者(LGBTなど)のカップルも、必要な条件を満たせば認定する意向を示した。5日の県議会一般質問で、小川晶議員(リベラル群馬)の質問に、中村弘子こども未来部長が答弁した。 中村部長は、必要な条件として、養育への熱意と理解、子どもへの豊かな愛情がある▽困窮していない▽里親研修を修了している▽禁錮刑以上に処せられるなどの欠格事由に該当しない--ことを挙げた。「(里親登録の)申請…
この4月、大阪市の男性カップルが里親に認定され、子どもを育てているというニュースが各種メディアで何度も流れた。関西地域では新聞の一面に大きく取り上げられるなど、全国のほとんどの新聞やテレビで報道された。そしてまた、ネット上では多様な意見があふれた。 私は2013年に任意団体「レインボーフォスターケア」(2015年一般社団法人化、以下「RFC」)を設立した。「同性カップルも里親に」をミッションに掲げて講演会やロビーイングを続けてきたが、今回の報道に対して実はかなり戸惑った。というのも、これまで同テーマに対する人々の反応が薄かったため、これほど大きく取り上げられるとは思わなかったからだ。 近年、LGBTをめぐるさまざまな取り組みは大きな進展を見せている。しかし、今回報道された「同性カップルと里親制度」については、多くの人から関心を持ってもらえなかった。そもそも、児童養護施設や里親制度といった「
欧米各国の社会的養護の柱の一つに、生みの親と暮らせない子供たちを引き取り、法的に実の子として育てる特別養子縁組がある。対するわが国は、社会的養護を必要とする子供約4万6千人(2014年)のうち約84%が乳児院や児童養護施設で、約16%が里親家庭やファミリーホームで暮らし、特別養子縁組はわずかに500件前後にとどまる。 ≪まずは施設から里親委託へ≫ 日本も採択する国連の「児童の代替的養護に関する指針」を見るまでもなく、子供は家庭的な環境で育つのが望ましく、特別養子縁組こそ最善の福祉と言っていい。その普及に向け、わが国も社会的養護の在り方を抜本的に見直していく必要がある。 政府は15年春に閣議決定された少子化社会対策大綱で19年度末の里親委託率を22%に設定するとともに、昨年の児童福祉法改正では養子縁組に対する相談・支援を児童相談所の主要業務に位置付け、議員立法による養子縁組あっせん法の成立で
九州にある82の児童養護施設のうち、看護師を配置しているのは昨年末時点で31カ所(37・8%)を数え、4年間で2・4倍に増えたことが、西日本新聞のまとめで分かった。親元で虐待を受けるなどして医療的ケアが必要な子が多いことから、国が配置を促してきた。ただ、鹿児島県や宮崎県ではほとんど配置されていないなど地域格差が大きく、関係者は「ケアの態勢を早急に整えてほしい」と要望している。 厚生労働省の調査によると、児童養護施設にいる約3万人のうち、6割に虐待を受けた経験があるほか、3割に心身の障害があり、2割は何らかの病気にかかっていた。一方で、専門知識に乏しい職員では健康状態の把握が不十分になりがちなことから、国は2008年に助成制度を創設。12年からは医療的ケアが必要な子が15人以上いる施設に対象を拡大し、看護師を雇用する費用を自治体と半分ずつ支出している。 九州の7県と3政令市によると、国の
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