ヘイトスピーチ対策法は、二十四日に成立一年を迎える。差別をあおるなどの右派系市民グループによるデモは、警察庁によると、昨年六月三日の施行から今年四月末までに三十五件を確認し、前年同期の六十一件からおよそ半減した。こうした効果の一方、デモが続くことで傷つく被害者も後を絶たず、法の限界を指摘する声もある。ヘイトとの認定を恐れ、発言を工夫する動きも出てきた。 対策法は、国外出身者への差別意識を助長する著しい侮辱などを「許されない」と明記。国や自治体に差別解消への取り組みを求めている。憲法で保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして、禁止規定や罰則はない。 警察庁の担当者は「右派系市民グループによるデモの減少は、法施行と社会的議論の高まりが原因ではないか」と推察。法務省人権擁護局の担当者は「根絶はされていないが、ヘイトスピーチは駄目なんだ、という認識は広がった」と話す。同局はヘイトスピーチの具体