民族的マイノリティに属すること理由とする不当な懲戒請求で、名誉を傷つけられたなどとして、東京弁護士会に所属する弁護士2人が7月12日、複数の懲戒請求者を相手取り、東京簡易裁判所と静岡簡易裁判所に損害賠償をもとめる訴えを起こした。原告の1人、金竜介弁護士と代理人が同日、都内で会見して明らかにした。被告は数十人規模で、請求金額は非公表としている。 原告側によると、2017年11月から12月にかけて、約950人から、原告2人を含む東京弁護士会に所属する18人の弁護士に対して、懲戒請求があった。そのうち10人は、会長・副会長の役職にある立場だったりしたが、残り8人は名前から在日コリアンと推認されるだけで、業務上のつながりもなかったという。 金弁護士は会見で「弁護士の業務としてこういうことをやっている、こういう発言をしている、という理由ではなく、ただ日弁連の名簿から名前で選ばれた」「国籍ないし民族を
記録を大幅更新する「過去最長」の裁判員裁判が4月16日、神戸地裁姫路支部で始まった。初公判から判決(11月8日)までは207日となる見通しだ。これまでは九頭竜湖女性殺害事件(福井県)の160日が最長だった。 報道によると、裁判の被告人は、元パチンコ店経営者の男性。2010〜2011年にかけて、2人を殺害、1人を死なせたなどとして、12件で起訴され、うち7件が裁判員裁判の対象になっているという。 男性は容疑を否認している上、3人中2人の遺体が見つかっていない。NHKによると、100人前後の証人が呼ばれる予定で、審理は週4回ペースになるという。このため、裁判員候補501人のうち421人が仕事の都合などで辞退したそうだ。 ●裁判員裁判「被告人に不利益な状況」となる6つのポイント 過去最長の裁判員裁判で、裁判員にはどんな負担がかかると考えられるだろうか。裁判員制度に否定的な猪野亨弁護士は、以下の6
新潟県の米山隆一知事が4月18日夜、「週刊文春」で報じられた女性問題の責任を取り、辞職することを明らかにした。19日発売の「週刊文春」(4月26日号)は、米山氏が出会い系サイトで複数の成人女性に金銭を渡し、肉体関係を結んでいたと報じている。 米山氏は独身で、相手女性との詳細は不明だ。それでも何か法的な問題はあるのだろうか。援助交際の法的な問題について検討した。 ●援助交際って法的に問題ないの? 異性に対して金銭を渡して肉体関係を結ぶ「援助交際」。モラルをのぞき、この行為に関する法的な論点は、次の2つだ。 (1)売春は違法なのか (2)「援助交際」は売春と言えるのか ●「売春」は違法だが、刑事罰はない まず(1)の売春が違法かどうか。結論からいえば、買ってもダメ、売ってもダメ。しかし「違法だが、刑事罰はない」というのが、厄介なところだ。 「売春防止法」は、売春の定義を「対償を受け、又は受ける
国際政治学者としてテレビ出演などをしている三浦瑠麗さんが4月17日、福田財務次官のセクハラ疑惑問題に絡み、「性暴力は親告罪。セクハラでも被害者が情報を提供しないと、それ以外に認定することができない」などとTwitterに掲載し、事実誤認だとする批判が相次いだ。 その後、間違いを指摘された三浦さんは「申し訳ございません」とツイートしたが、刑法改正による「非親告罪化」について認識していない人も少なからずいるのではないか。この問題をTwitter上で指摘していた深澤諭史弁護士に、どう変わったのか聞いた。 ●2017年7月に改正刑法が施行、告訴不要に ーー親告罪とはどういったものでしょうか 「まず、被害者が加害者の処罰を希望するとの意思表示を『告訴』といいますが、告訴をしない限り、加害者を刑事裁判にかけることができない犯罪のことを『親告罪』といいます。現在は、例えば器物損壊罪や名誉毀損罪があります
2010年8月に自殺したソニーの男性エンジニア(当時33)の遺族が、パワハラや退職強要が原因なのに労災が認められなかったとして、国に判断の取り消しを求めた訴訟は2月22日、東京高裁(甲斐哲彦裁判長)で控訴審判決があり、一審に続いて遺族が敗訴した。上告する予定だという。 一審は、一部暴言や退職強要を認めたものの、その心理的負荷が労災の認定基準に足りないとの判断。これに対し、今回の判決はそもそもの「退職強要があったと認めることはできない」というものだった。 認定基準を不当として争っていた遺族側は「裁判所は論点から逃げた」と憤った。 ●自殺後、上司からのメール「もっと打たれ強いと思っていた」 男性は、大学院卒業後の2004年にソニー入社。左手のマヒによる軽度の身体障害(6級)、自閉症スペクトラムなどの障害があった。採用したソニーは男性を法定の雇用障害者の人数に含め、雇用調整金(毎年約2000〜3
若い女性が意に反して、わいせつなビデオへの出演を迫られる「AV出演強要」。その問題を指摘した報告書(NPO法人ヒューマンライツ・ナウ)が世に出てからもうすぐ2年になろうとしている。警視庁は2月1日、業界関係者に説明を開くなど、取り締まり強化の姿勢をみせている。 関係者からは「政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、AV業界をつぶそうとしているのではないか」という声が漏れ聞こえる。AV人権倫理機構ができて、業界側のルールをつくっているが、本格的な健全化に向けた取り組みはこれからだ。 AV出演強要問題について、ツイッターやブログだけでなく、リアルの「お茶会」(月1回都内で開催)で発信をつづけてきたAV業界30年の男優、辻丸さんは「業界は相変わらず思考停止状態」と指摘する。最近の業界をとりまく情勢に触れながら、この問題の本質について聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・山
「子どもには人権がある」。当然のように言われているが、私たち大人はどこまでそれを本当に理解し、実現できているだろうか。憲法学者、木村草太さんが、子どもたちが抱える問題と日々向き合う現場のアクティビストたちと共に2月8日、『子どもの人権をまもるために』(晶文社)を刊行した。家庭における虐待や貧困、学校における指導死…。漠然と守られていると思っていた「子どもの人権」が危機にさらされていることが語られる。 もちろん、憲法や法律、条例など子どもの人権を守るための枠組みは存在する。しかし、現場でそうした対応を行うことは「必ずしも簡単ではない」と木村さんは指摘する。たとえば、近年社会問題となっている組体操。高さ3、4mにも及ぶ人間タワーが作られ、年間5000人以上の子どもが負傷している上、過去には死者も出ているが、教育の名の下に断行される。大人が高さ2m以上で作業する際には、手すりや命綱安全ネットなど
いじめ問題が起きたら、まずは弁護士に相談する。そんな流れになっていくのだろうか。文部科学省が来年度、全国10カ所で学校に弁護士を派遣する取り組みを始める方針だと8月24日、NHKで報じられた。 報道によれば、いじめ調査を行う際に、学校の求めに応じて弁護士が派遣されることになる。「スクールロイヤー」という制度だ。 学校問題に詳しい弁護士は、文部科学省の方針をどう評価するだろうか。いじめ調査に弁護士はどのようにかかわり、どのような効果があると考えられるだろうか。舟橋和宏弁護士に話を聞いた。 ●スクールロイヤーの意義とは? 「『スクールロイヤー』制度とは、大阪府でも実施されていますが、学校内で問題が起きた際に、弁護士会と教育委員会の連携のもと、学校に弁護士が派遣されるというものです。 たとえば、いじめ問題では、どのような取り組みになるのか。おそらく、いじめ被害者側の代理人として派遣するのではなく
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