2014年1月に『都市の環境倫理――持続可能性、都市における自然、アメニティ』(勁草書房)を上梓した。「環境倫理」とは、環境や環境問題に関する人間社会の行動規範といった意味で、1970年代からアメリカで用いられるようになった言葉である。 環境倫理を探求する学問分野が「環境倫理学」で、当初は「自然を守る理由は何か、自然にはいかなる価値があるのか」とか「自然物にも権利があるのではないか、人間は自然物の権利を尊重すべきではないか」といった議論がさかんになされた。つまり、そこでの環境はもっぱら「自然環境」を指していた。それに対して、この本では「都市」という環境を問題にしたところに特色がある。 「都市の環境倫理」がテーマ化されたのは、アメリカでも2000年代に入ってからである。日本では、今道友信『エコエティカ』(講談社学術文庫)と御子柴善之「都市生活者の環境倫理」を除いては、現在でも都市環境は議論の