東京大学三崎臨海実験所(三浦市三崎町小網代)にある明治末期に建てられた木造実験棟が先月21日未明に全焼して2週間余り。「日本の海洋生物学の黎明(れいめい)期を知る生き証人」(赤坂甲治所長)という歴史的に貴重な建物を失った落胆を乗り越え、関係者が再建に向けて動きだしている。 「関東大震災も、今回の地震も乗り越えたのに。こんな形でなくなってしまうなんてね…」。立ち入り禁止の黄色いテープが周囲に張られた骨組みだけの実験棟を眺めながら、赤坂所長はつぶやいた。 同実験所は日本初の臨海実験所として1886年に設立。実験棟は1909年ごろに建てられた。数年前まで外国人研究者などの宿舎として利用されていたが、現在は倉庫として使われていたという。 約150平方メートルの平屋建て洋風建築。部屋の天井部分には伊勢エビやカブトガニ、ウミテングなど海の生き物の透かし彫りが飾られていた。東大も価値を認めて、文化