行政刷新会議による事業仕分けで「必要性に乏しい」などとやり玉に挙がり、多くが「廃止」や「縮減」の宣告を受けた科学技術関係費。ふたを開けてみれば、見直し対象になった事業は復活し、即廃止となる事業はなかった。 2010年度政府予算案の科学技術関係費は予算編成前の大幅減額予想に反し、ほぼ前年度並みの水準を維持した。先端技術につながる基礎研究を重視する鳩山政権が軌道修正した格好で、大学関係者らは安堵(あんど)の表情を見せる。 しかし、国の経済、財政状況とは無関係に巨額の予算がつぎ込まれていたことが明らかになり、納税者の目は一段と厳しくなった。漫然と予算を要求し、消化する行為は許されない。無駄の一掃が急務だ。 文部科学省によると、科学予算の中核である科学技術振興費は約1兆3000億円。前年度を3%下回ったが、ほぼ横ばい。研究者が申請する科学研究費補助金(科研費)は30億円増えて2000億円が計