アンティーク着物の商売を始めるとしたら、最初に覚えなければならないのが、絹と人絹の見分け方だ。 人絹とは、現在でいうレーヨンのことで、 パルプなどの植物のセルロールからつくられる。 人絹は世界で最初につくられた化学繊維であり、大いに重宝されたものだった。 大正時代といえば、大方の女性はまだ着物を着ていたのだが、絹の着物はやはり高級品であったから、安価なレーヨンが出てきたことで、さぞおしゃれな女性たちは喜んだことだろうと思う。 絹と同じような光沢と滑らかさを持つ繊維であるということで、’人工的に作った絹’という意味で「人絹」と名づけられた。 大正から昭和初期の着物には、人絹のものが多い。 経糸か緯糸かのどちらかに人絹糸を織り込んだものも多く、アンティーク着物の初心者にはその見分けに苦労する。 だが、基本的に、その成分が植物の基本組成であるセルロースであり、紙と同じような性質をもっている。 紙