最近何を読んでも感情が全く揺れない…ことはないんだけど、うつ伏せの状態から軽く頭を持ち上げて「これってそれなりに面白い…のかなあ?」などと自分の感情グラフがどのような線を描いているのかも把握できていない顔で数秒間宙を見つめた後にペタンと床に顔を伏せるといった感じでね。面白さを吸収するエネルギーがない状態だったわけなのよ。そんなテンションで読んだコミックがウォッチメンだったんだが、これを読んでいる間は普段俺の背にのしかかっている漠然とした不安を一切忘れて、存分に不安になることができた。その不安の中に光る砂金一粒程度の希望が放つ光に魅了された。悲劇的な要素は多分に含まれているが、決して世界をシニカルに切り取って終わりというようなものではなく、随所から感じられる生命力のほとばしりが読む者の胸を打つ名作だったと思う。 事前に映画版について「ストーリーは原作に忠実らしい」「原作未読だと難解だと感じる