トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事 【社会】 迫る津波、車は定員オーバー 妻「私が残る」 2011年3月25日 朝刊 族で撮った写真で作った年賀状を見つめる菅野光子さん=23日、岩手県陸前高田市で 津波はすぐそこまで来ていた。近所のお年寄りを乗せると車は定員オーバー、1人が降りなければならない。「私が残る」と家に残った妻は津波にのまれ、助けに向かった夫も津波に消えた。岩手県陸前高田市を襲った大津波は仲の良い家族と近所の人たちに「だれか1人が死ぬ覚悟を」と過酷な選択を迫った。 JR駅前で写真店を経営する菅野有恒さん(56)と太佳子さん(55)夫妻が、離れて独り暮らしをする母光子さん(87)を車で助けに来たのは、地震から十数分後のことだった。 「おふくろ、早くしろ」。急いで薬と保険証をリュックに入れ、家を出る。すると、近所の独り暮らしの女性ら3人が道路にいた。全部で6人。 小さなワゴ