香港のデモに関する報道を通じて、日本人の目に留まったのは恐らくマスクを着けた市民の姿だったのではないだろうか。19年6月から始まった「逃亡犯条例反対デモ」は、数カ月の後に民主化デモへと発展。当初デモに参加する人々がマスクをし始めたのは、当局による個人の特定を避けるためだった。しかし、やがて民主派の色の象徴として、黒いマスクを着用するデモ参加者が増えていくことになる。 なぜマスクの色が変わったのか 「デモの現場で黒いマスクが配られることもあった。日本から輸入された竹炭マスクも使われていた。広東省から来ているものもあると聞いた」(デモに参加していた20代女性) こうしたことから19年9月26日、マスクやヘルメット、黒Tシャツ、傘といった民主化デモに活用されるグッズの香港への配達を中国政府が主に広東省の企業に対して禁止した。さらに10月4日には「覆面禁止法」を制定し、デモ参加者がマスクを着用する