実験器具の拭き取りに欠かせない存在として、長年愛されている「キムワイプ」。吸収性の高さや毛羽立ちにくさなど使い心地の良さはさることながら、あの絶妙なサイズ感やザラザラした触り心地、そして緑色のカーブが描かれたパッケージに、無性に愛着を持っている方も少なくないのでは? そんな「キムワイプ」の魅力に迫るべく、製造元の日本製紙クレシアに突撃! お出迎えをしてくれたのは、なんと……キムワイプさんご本人!?
出会い それは小さな箱で、まるで魔法のようだった。 滅びゆくしかないみたいな言葉がしっくりくる小さな街の中学校、その片隅の少し薄暗い理科準備室にその魔法が存在した。 (Photo:Patrik Uytterhoeven) いつ洗ったのだか定かではない理科教師の白衣は、もはや黒衣だとか茶衣と呼ぶ方がふさわしくて、じっとりとした白髪混じりの髪を掻き毟りながら、なんとか反応っていう鮮やかな色が出る反応を見せてくれた。 もうその反応の名称は忘れてしまったのだけど、試験管の中に揺らめく色鮮やかな薬品の色と、そこを通過した太陽の光が汚い実験台の上をキラキラと、カラフルな海、その水面のように照らしていたことを今でも覚えている。 「どうだ、魔法みたいだろ」 理科教師はそう言った。確かに不思議で綺麗だと思うけど、魔法とまでは思わなかった。 これは科学だ。断じて魔法ではない。薬品を混ぜる前から薄々は、綺麗な色
キムワイプへの歪んだ愛情 生物や化学の実験をしたことがある人はよくご存知の通り、科学の研究室では、全国どの研究室を覗いても、決まってある特別なティッシュが使われています。 その名は「キムワイプ」! キムワイプは普通のティッシュのように毛羽立つことはなく、液体の吸い取りにも優れているため、ミクロな物質を扱う実験で重宝されています。そんなキムワイプは理系としてのアイデンティティの一部にもなり、理系研究者や学生たちに寵愛されているのですが、あまりにキムワイプ愛が肥大化したせいか、こんな噂まで流れているようです。 「キムワイプおいしい」 キムワイプおいしい党によるプロパガンダは激しく、TwitterをはじめとするSNSでは、時折このような狂気を孕んだ画像がタイムライン上に登場します(*1)。 確かに、可愛い猫を見ると「食べちゃいたい」と思うような、「愛しすぎて食べてしまいたくなる心理」が存在するこ
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