もはや「ふるさと」でも「納税」でもない。まるでネット通販かカタログショッピングだ。ふるさと納税の返礼品は、寄付のあり方や税制をゆがめるばかり。いっそやめてはどうか。 ふるさと納税は、ある自治体に寄付をすると、国に納める所得税と自分が住む自治体への住民税が軽くなる。上限はあるが、実質2千円の負担で、寄付先の自治体が用意する牛肉やコメなどが手に入る。 総務省は「応援する納税者の気持ちを橋渡しする仕組み」と位置づける。しかし集まる寄付額は、寄付する人が返礼品をお得と感じるかどうかで左右されているのが、実態だ。 静岡県小山町は昨年9~12月にアマゾンギフト券をお礼に入れたところ、2018年度の寄付金額がすでに前年度の約9倍に増えた。一方、原発事故で被災した後、農家の特別栽培米をお礼にする福島県広野町は、昨年10月に寄付額に対する返礼率を5割超から3割にすると、寄付件数が20分の1に減った。 返礼品