日本の若者はなぜ、海外を目指すのか――。東南アジアなどで学生向けの海外研修事業を展開し、海外の就労事情に詳しい森山たつをさん(48)は、日本を1912年に沈没した豪華客船タイタニック号に例え、「一部の若者は『船に穴が開いている』と気づいたからだ」と分析する。どういうことなのか。詳しく聞いた。 大転換期を迎えるヒトとモノの今をリポートする<¥サバイバル 令和の「値段」>。今回は5回にわたって歴史的な円安を背景に注目が集まる「海外出稼ぎ」に迫りました。 第1回・「未経験、月50万円」でも ワーホリの苦い思い出 ――若者が海外に流出する理由をどのように捉えていますか。 ◆そもそも日本と海外では、給料の水準が全く違うという問題があります。例えばシンガポールの飲食店でアルバイトをすると、月給はだいたい3500シンガポールドル。円換算すると約40万円になります。純粋に稼ぎが良いのです。現地の物価は高い