前回は、世界最大の大砲と防御力を持つ戦艦「大和」が艦隊決戦を想定した設計だったことによる悲劇について述べたが、今回は「大和」の防御思想や防御構造が現在の情報セキュリティ対策の参考になる部分について掘り下げよう。 情報セキュリティにも有効な集中防御方式 前回は、「大和」が世界最大の大砲を装備しながら、大砲の口径などの仕様からすると、極めて小さな構造にできたという点を述べた。この秘訣は、当時のライバル戦艦と異なり「集中防御方式」を採用したことだ。この方式は重要な部分を集中的に防御することで、致命的な箇所への被害を防ぐというのが最大の特徴であり、コンパクトにできた要因だ。 コンパクトになれば艦自体の重量が減り、スピードが向上するし、スピードを出すための機関部も小さくできる。面積や体積が減れば、相手から的になる部分が小さくなり、攻撃を回避できるということになる。これは、情報セキュリティにもあてはま