(本稿は劇場版『ハーモニー』を鑑賞した筆者が、映画としては最悪、百合としては最高という二心に分裂した苦悩を反映してふたりの女子高生が対話する形式で書かれています。何卒ご了承ください) ふたりの女子高生が映画館で集合した。劇場版『ハーモニー』をみるためだ。ひとりはクローム色の革製のジャケットに、ぴったりとしたジーンズを履いている。肩口で切った髪は自分で染髪しており、手入れを怠り、一部が枝毛になっていた。もうひとりはブラウスに緑の薄手のカーディガンを羽織り、細身のスカートを履いている。黒髪をまっすぐに伸ばしていた。 革ジャンの少女、未来はSFファンで、もうひとりの小百合は百合マンガの愛好家だった。ふたりは女児向けゲーム『プリパラ』、そしてそのアニメにSFと百合の両面があることから意気投合し、親友となっていた。SFとして多数の賞を受賞し、百合としても名高い『ハーモニー』の劇場版をふたりは楽しみに