『SとM』 先日、漫画家の村生ミオ氏が亡くなりました。80年代前半に『ときめきのジン』『胸さわぎの放課後』とラブコメでヒットを出してから、亡くなる直前に至るまで、掲載誌は少年誌から青年誌へと変化しつつも安定して継続的にヒットを出し続けてきた人ですが、評論とかの俎上に上がるような作風ではなく、縁のない人には本当に縁のない漫画家だと思います。 実際、編集者の岩井好典氏の証言によると、村生氏本人は若い頃に『COM』などを読んでいたこともあって作家性の強い作品を好んでいながら、「でも、ぼくは違うんです。ぼくは“流行作家”なんですよ。載っている雑誌で、常に1位を争うような作品を描きたい。描かなければならないんです。作家性の強い漫画を良いなとは感じるけれど、自分で描こうとは思わないんだよね。自分は人気作が描きたい」と語るような人だったそうです。 実は、村生さんは、他の人気作にはそれほど関心を示さないの