イントロダクション ちかくてとおい、ぼくが住む町のお話 近年、アイヌが注目されている。「アイヌ新法」成立は記憶に新しく、大ヒットコミック「ゴールデンカムイ」により、多くの人がその文化の多様性や自然との共存を大切にする精神性に新たに魅せられている。今年も北海道白老町にオープンしたばかりのアイヌ文化施設「ウポポイ」など、話題が尽きない。 長編デビュー作『リベリアの白い血』で、ニューヨークに渡るアフリカの移民の苦悩を描き、国内外で高く評価された新鋭・福永壮志監督が5年をかけて作り上げた2作目となる今作は、自身が生まれ育った北海道を舞台に、阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年の成長を通して、現代のアイヌ民族のリアルな姿を瑞々しく映し出している。ニューヨーク・トライベッカ映画祭のインターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門にて長編日本映画史上初の審査員特別賞を受賞し、審査員である映画監督のダニー