お店の扉を開けると、香ばしくてしあわせな香りがフワっと鼻の奥に飛び込んでくる。そして優しい笑顔で出迎えてくれるのが、懐かしの近鉄バファローズ、最後のV戦士だった川口憲史さん(45)だ。 球界再編後は分配ドラフトにて楽天イーグルスへ。そして2010年シーズン限りで引退。その後は生まれ故郷の福岡に戻って、現在はパン屋を営んでいる。 福岡市の西端。西九州道の真下を通る今宿バイパスから一本脇道に入ったところに「パンandベーグル hands hands(ハンズハンズ)」はある。店舗を構えたのが12年4月だから、まもなく丸10年を迎える。いつの頃からか福岡市内で評判の名店の一つに数えられるようになった。 「ちょうど近鉄でプレーした期間と同じになりましたね」 現役時代の一番の思い出と語るのはやはり、今も野球ファンの脳裏にこびりつく01年のパ・リーグ優勝決定試合だ。 “いてまえ打線”の7番。「モットーは