次世代のクリーンエネルギーとして「水素」が注目を集めることが多い。元静岡大学教員の松田智氏は「水素は製造過程でかなりのエネルギーをロスしており、二酸化炭素も生成される。燃やしても二酸化炭素が出ないといって喜ぶのは本末転倒だ」という――。 松田智ほか『SDGsの不都合な真実』(宝島社) ※本稿は、松田智ほか『SDGsの不都合な真実』(宝島社)の一部を再編集したものです。 ■マスコミは水素の問題点に触れない 最近よく目にするテレビCMに、大手石油会社の「ゴリラに水素(H2 )の効用を教える」ものがある。いわく「水素は燃やしても二酸化炭素(CO2 )を出さない、クリーンなエネルギーなのよ」、と。他にも新聞雑誌等で「CO2 を排出しない次世代のエネルギーとして期待される水素」「水素は脱炭素の切り札」等の言葉が躍り、今回の東京五輪では水素で動く燃料電池バスが選手役員等を運んだ(聖火の燃料も水素だと宣